<中村天風氏の気の哲学>


脳卒中発症以来生死の境を右往左往し、その後も何だか今日は生きて帰られないかもなどという生活をしていると次第に「自分は生きているのではなく何者かに生かされているのだ。」と感じるようになりました。
大病をした方は多分似たようなことをお感じになったのではないでしょうか。心を強く持てと言われても意外に心は頼りになりません。心は身体の状態に引きずられるからです。
社会復帰の途上、僕はどうしようもなく落ち込んで(身も心も)しまったことがありました。このまま本当におさらばかなと思いました。でもその時心の奥には不思議と「暖かな南風」が吹いていることに気がついたのです。
「こんなに苦しいのにこんなに辛いのに何故南風なんだ?」

その時は良くわかりませんでした。

その後、人から勧められるままに中村天風氏の「成功の実現(日本経営合理化協会)」という本に出会いました。価格は12,500円。今時恐ろしく高い定価がついていました。藁にもすがる気持ちで購入し読んでみると「人が生きる意味」もそしてあの「南風の意味」もそこには書いてあるではありませんか。

「この身体も心も自分ではない。あるのは気というガスだけだ。これが生命の正体であり、こいつを生かしてやれば病気は自ずから消えて行く。」

ご存じの方も多いでしょうが中村氏は明治9年生。自分自身悪性結核で死に直面し、当時日本最高の名医北里柴三郎博士に40才まで生きられないと見放された男です。それでも自分は治るはずだと信じて海外に密航するのです。欧米に高名な医師や哲学者を訪ねても自分の心身を癒してくれる人物は見つかりませんでした。
結局、万策尽きて死を覚悟しての帰国途上スエズ運河を渡る際、インドのヨガの聖人に出会うのです。ヒマラヤ山麓で彼の指導の元修行するうち、やがて生命の本質を会得し、死にかけていた身体が完治し、肺に大きな障害を受けた身体にも関わらず92歳まで元気に生き抜きました。

病を得た私には彼の一言一句が胸に響き今でも苦しい時、この本のページをゆっくりとめくることがあります。12,500円がこんなに安いものだとは思いませんでした。僕がそこで知ったのは「生命を輝かすこと」が生き抜くための唯一最高の方法だと言うことでした。
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<参考図書>
中村天風述
「成功の実現」「心に成功の炎を」「盛大なる人生」
宇野千代著
「天風先生座談」
神渡良平著
「宇宙の響き」

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