<セルフ・リハビリ入門>


東京・新大久保のタオ・プレイスというところで「錬気柔真法」という武道を利用したセルフ・リハビリを実施しています。

片麻痺改善の実例としてご案内しておきたいと思います。

皆さんご存じのことと思いますがヒトの身体は屈筋と伸筋のバランスの上に成り立っています。手も足も胴体も全て屈と伸の調整バランスで身体は動く仕組みになっています。我々麻痺患者は力感を失いますがそれは屈筋の力感です。伸筋はどうかというとこれは元々力感のない(感じにくい)筋肉なのです。ですから麻痺して全然動かないかというとそうではなくて動かそうとする力感がないものだから「動かない」と錯覚しているケースがあるのです。

ところがこの力感を感じにくい伸筋の方が屈筋より強い力を持っているのです。典型的なのが武道です。武道家は屈筋をあまり鍛えません。基本的には伸筋主体の鍛錬をして自分のレベルアップをはかります。片麻痺ネットワークを主宰しておられる中島さんはこの訓練により麻痺克服を今も実行されているはずです。

例えば手を動かそうとする時、麻痺患者は大抵内側に向かって動いてしまいなかなか真っ直ぐ前に腕を突き出すことが出来ません。これなど典型的な屈筋過剰反応です。
力のはいる方にばかり力を入れれば当然内側にしか手は動いて行きません。そこで大切なのが伸筋の強化訓練と伸筋を意識する訓練です。これはリハビリ訓練の中にも取り入れられているはずなのですが療法士がきちんと患者に説明していないと理解不足のままになりやすいものなのです。ここでは自宅で出来る方法を述べておきます。

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(ここでは左片麻痺の場合・右は逆に)

1.まず、座ります。

2.左手を身体の左に置き手のひらを開いて腕を支えにするように身体全体の体重を乗せます。

3.この時手のひらを開いておくことと肘を曲げないで伸ばしてやることがポイントです。

4.そして同時に右手で左の肩から左指に向かってさすってやるのです。

イメージとしては肩から手先に水が流れているようなつもりで「水が流れる」と声に出してやると更に効果は高いと思います。

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朝晩10回づつ(体重を乗せる運動)続けると3ヶ月位で肘を伸ばして手を動かすという感覚が少し出てくると思います。また体重を乗せる動作は亜脱臼改善効果もあるようです。(これは多分病院でも習っていると思いますが)但し、自分一人で出来ないときは補助が必要です。無理はしないで下さい。

ポイントは伸筋側(外側)に水が流れているように常に感じられれば成功です。また「気」の話になりますが腕の場合「気」は伸筋側に強く流れているのです。手を動かすと言うことは単純に肩から先(下)を動かす動作ではありません。上半身特に肩胛骨を起点に動く全身運動なのです。

つまり半分以上は背中で動かしているのです。そのことを自身が意識して訓練をするのと意識しないのでは大きな違いが出てくるように思うのです。これは私の実感です。私もタオプレイスの訓練をしました。背中で動かす訓練を続けているとやがて背中の表情が筋肉質に変化してきます。今は腕を振って歩いていますがこれがなかなか出来ませんでした。思い立って3年掛かりました。緊張した身体を弛めると同時にこの伸筋訓練をしているうちに自然に手を振って歩けるようになったのです。

発症後時間が経っても決してあきらめてはいけません。やれば必ず進歩してゆきます。「伸筋力感回復訓練」は麻痺改善の第一歩です。この関門を通らないと手は絶対動きません。

「タオプレイス」の大阪道場へ行っていた時、京都から来ている(片道1.5時間)という方にお会いしました。以前は家族に付き添ってもらって杖をついてやっと来ていたようですが、「この頃は一人で気楽に来れるようになりました。」とニコニコして話しておられました。
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〒171 東京都豊島区高田3−12−14犬宮ビル3F
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お薦め図書
「リハビリ革命(茂呂隆・恵子著・洋泉社刊)」

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