6.セミナー講義録:2003.3.7. 東京 「Rajesh Shah氏講義」

Rajesh Shah氏のセミナーは2003.3.7.に東京信濃町にて開催されました。インド人ホメオパスにお会いするのは初めてでしたが、ホメオパシーという共通語を持てたせいかとても気楽に参加でき、理解しやすいセミナーでした。この主催者は僕をホメオパシーに誘って頂いたミハエラ先生を中心にしたメンバーです。

インドのホメオパシー事情に始まり、基本的なセッションの方法論が中心的内容です。 世界のホメオパス達は、世界中で実施されているこうしたセミナーを転戦して自らの力をつけてゆくそうです。僕は体調の問題もあり、まだ、学校を主体とした国内セミナーしか参加経験はありませんが、その少ないチャンスを十二分に自分のものにしたいと思っています。いつか欧州にも行ける日を夢見ています。
さて、インドは世界有数のホメオパシー先進国です。著名なホメオパスも数多くいるそうで、教育も現代医学とほぼ同格の扱いとなっていると聞きました。
貧しいものから富めるものまで、ホメオパシーの恩恵に与れる珍しい環境にあります。

元々は英国統治時代からのスタートですが、建国の父ガンジーがホメオパシーを奨励したせいか今の繁栄があるとのことです。
「人をみる」ことはホメオパシーの根幹ですが、欧州のホメオパス達も、”西洋の知恵”だけでは限界を感じ始めているようで、最近は”東洋の知恵”がこの世界では注目され始めてきています。そういう意味ではインドでの発展は当然ともいえますし、日本で発展する可能性は極めて大きいのではないかと僕は思っています。

この内容については10回程度で完結したいと考えています。

050505補足
このセミナーにおけるRajesh Shah氏の内容は、比較的初学者向けに述べられている。基本の勉強としてとても有効だと思う。ただし、同じインドのホメオパス:サンカランのような切れ味の鋭さや、革新的なものではない。保守正統派というところであろうか。


Let's Study Homeopathy!


<目次>
NO.1 第1回:Rajesh Shah氏自己紹介:040507
NO.2 第2回:ケーススタディ/ケース紹介:040522
NO.3 第3回:Rubrics以前:040610
NO.4 第4回:Rubrics〜Case Taking:040628
NO.5 第5回:Case Taking:040702
NO.6 第6回:Physical Generals:040831
NO.7 第7回:Physical面の個別確認:050504
NO.8 第8回:MIND面に入る前に・・:050505
NO.9 第9回:MIND(精神):050505
NO.10 第10回:病歴・家族病歴〜検査:050506
NO.11 第11回:STOP&THINK レメディを考える前に〜:050508
NO.12 第12回:Plan of Action レメディ投与後フォロー:050509
NO.13 第13回:質疑応答(完):050511


<NO.1 第1回:Rajesh Shah氏自己紹介>

「私は1980年からホメオパシーに関わっています。
現在インドではホメオパスとして活動するのに12年間の勉強が必要です。ですから普通は18歳くらいで勉強を始めて、30歳くらいでホメオパスになるのが通例です。前半は理系の勉強を積み、後半にホメオパシーと現代医学に専攻が分かれます。専門科目は5年半学びます。
でも当時は4年半で卒業が出来たので、私の場合は1985年からホメオパスとして活動を開始しています。それから18年経っています。」

「私は今大きく4つのことをしています。
1.「Practice(セッション)」
2.「Traning」・・・ムンバエ(ボンベエ)の大学でホメオパシーを教えている
3.「Promotion」・・・いつもホメオパシーとは何か?という解説を持ち歩いている。同時にインターネットにより普及のための発信をしている。
http://www.askdrshah.com/default.htm

4.「Reserch」・・・(荻野の理解不足のため説明不可)


「知識を持てば持つほど知識は広がってゆく」
「献身的に取り組めば取り組むほど得るものは大きかった」
「今は世界104カ国に招かれてホメオパシーを教えている」
「日本と米国で広がらないのはReserchが進んでいないからだと考える」


「今の自分の課題は・・・
『ホメオパシーとは何か』をもう一度見直したいと思っている
類似の法則とは何か? 希釈の法則とは何か? そしてプルービングについてである

例えば
Sep.はイカを絞った。200年前にハーネマンがプルービングしたもの。
今、昔のイカとは異なるはず。どのように異なるのか? あるいはどのSep.なのか?

また、Nat-m.は精製されたNaClではないはず。そこにはK、Ca、Mg、・・色々含まれている。ハーネマン当時の原料と今のものは異なってきているはず。

こうした時代の変化を考えていかなければならないと思う。それを踏まえた上で、今新たに10個のレメディのプルービングに取り組んでいる。それは原料の希釈から始めている。 他にも考えることは多くある。Acon.では葉・茎・根のどれほどを使うのか? どこまで洗って利用するのか して来たのか? その根に着いている菌、肥料、水分・・色々なことが変わって来ている。

言わば、もう一度すべてを見直す必要があるのかも知れない時期に来ているのではないでしょうか?」


「さて、皆さんはTub.(結核菌のノゾ)のレメディ原料がどこから来たものかご存知でしょうか?
それは”結核患者と思われる”人の痰から採取したもの。
それをレメディにしたのは1877年。ところが結核菌が発見されたのは1884年。この時、初めて”結核菌”という名称がつけられた。

その痰には一体何が含まれていたのでしょうか?
実は何も立証されていない。その人は風邪だったのかも知れない。他の菌も入っていたでしょう。
今、ホメオパスは約80年前のTub.を使っている。これも今のものとは異なります。

つまり、本当に科学的なホメオパシーをこれからも続けていこうとするなら、このあたりのことをきちんと整理しておく必要があるのです。

(質疑応答)/省略

第1回終了。


<NO.2 第2回:ケーススタディ/ケース紹介>

「ホメオパシーを学ぶ時、ひとつのケースを取り上げて、そこから学ぶことが大切。今回は次の日から実践出来るケースをご紹介したいと思う。」

*コメント:ケース・スタディ
ホメオパシーではひとつの具体的なケースから考察します。個々の学習ではもちろん匿名にて、あるいはケースによっては本人の承諾を得た上で、先生がしたセッションを共有しながら如何にアプローチしてゆくかが非常に有効な学習法になります。
しかし、ここでは、HPという形をとる以上、個人情報保護の観点から、それを詳細にご紹介することは避けようと思います。その点、お伝えしにくいのが残念ですが、概略的な表現に留めようと思います。

<インドのある女性のケース>

・20代。女性。中流階級。既婚。

・主症状:落ち込み、怒り、生理前のひどい怒り、悲しみ、喜びの欠落、無関心。
     生理前には仕事が出来ないほど不調。
     憂鬱、悲しみ、怒り、年をとるような気がする。6〜7ヶ月泣いている。
     最近8Kg太った。顔が腫れている。疲労感あり。

・仕事:銀行OL

・経緯
1.3年前に化学技師の夫と見合い結婚して以来、姑・義姉から抑圧を受ける。
2.外での仕事(銀行)も大変。
3.自分は一人っ子。母は死去。
4.結婚後は、1日中仕事をして帰宅。家族の食事を作り、その家族に耐えて来た。
5.その蓄積が今の症状として出てきている。
6.結果として、夫との関係も悪化。やがて、家庭に無関心な状態。怒りを伴う。
7.当初、相談しようとした母は、当時子宮ガン。苦しみを分かち合うことが不可能。
8.友人も少ない。夫も協力してくれない。一人で泣くしかなかった。
9.やがて、姑・義姉と喧嘩を始めた。その後、実家に戻った。夫も落ち込んで実家に住むようになった。
10.しばらくして、妊娠したが、流産。惨めな気持ちに落ち込んでいった。
11.その後、脊髄結核発症。手術。 発疹症状も出た。

さて、皆さんは次に何をしますか? レパートライズですか?
いや。その前にもっとすることがあるはずです。考えてみて下さい。

(第2回終了)


<NO.3 第3回:Rubrics以前>

Rubricsを見極め、レパートライズする前に考えないといけないことがあります。
それは・・・以下全体の流れの中の1〜3の部分です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1.Case taking

2.Diagnosis(診断)
1)Clinical examination(身体所見)
2)Investigation(検査)

3.Case analisis(ケース分析)

4.Repertrising(レパートライズ)=全体像を見ながらRubricsの選定

5.Prescreption(処方)=レメディの選定

6.経過観察

7.Case evalvation(ケース評価)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これらの一連のことを一歩一歩着実に進めることが重要。
「科学的ルール」に基づく診断と処方を心得ることがホメオパシーである。
個々のセッションや処方が科学的計画の元に実行されているかどうかが基礎になる。

正確には分からなくても、処方に対する反応を推測しておくことが必要。何故なら、何か反応が起きた時の対処法を考えておかなくてはならない。そういうことが起きることもありうる。

全体的には
まるで登山をする時のように、
・計画して
・何か起きた時、どうすれば良いかを考えて
出発するようにしないといけない。

仮に「1.Case taking」が終わったとする。

2.Diagnosis(診断)・・・

この女性はHypo-thyroidism(甲状腺機能低下)の状態。
この病気は世界中の人の1%が罹患。内女性が75%を占める。

甲状腺ホルモン
-T3
-T4
これらの血中濃度が低下する。(甲状腺からの分泌量が低下)

-T3 -T4については TSHというものが脳から出て分泌を指示するもの。

この病気は、”アロパシーでは治癒不可能”と考えられている。
この人は何年も掛かったが、”ホメオパシーで治癒”した。

治癒不可と治癒可能。この差は非常に大きいことはお分かり頂けるでしょう。


次に
4.Repertrising(レパートライズ)

※レパートリーはいつも持ち歩くと良い。あるページを開けば、すぐに学ぶことが出来る。

Repertrising(レパートライズ)は部分的に合っていることではなく、「Totality」を見てゆくこと。「全体像」を見なければいけない。
つまりある病気や症状に囚われるのではなく、色々な角度から眺めて、この「全体像」を捉える必要がある。

(第3回終わり)

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<NO.4 第4回:Rubrics〜Case Taking>

さて、この人のRubricsを考えてみましょう。皆さん、思いつくまま上げて下さい。

ーーーーーーーーーーーーーー
1.oppressed 抑圧
2.lornliness 孤独
3.tiredness 疲弊
4.indifference 無関心
5.can not cry 泣けない
6.non forget 許せない
7.sadness 悲しみ
8.anger 怒り
9.miserable みじめ
10.feel bord 退屈に感じる

ーーーーーーーーーーーーーーー

こんなところでしょうか。Rubricsというものは洋服屋さんの洋服作りに例えると採寸や生地選びに似ています。あるいはボタンであり、デザインでもあります。でも最終的な決め手は「その人に似合うかどうか」です。これがホメオパシーのレメディの類似性を考えて行く際の「全体像」ということです。「服がその人に似合うかどうか」という重要さについてはご理解できますね。

Rubricsには、重要度のランクがあります。

MIND精神>GENERAL全体>PHYGICAL身体各部位

・・・の順序です。「その人」を現す重要度が、この順序になるのもご理解頂けると思います。

そして、一般にそれぞれの分類の中での重要度は、”重要な症状順に”ランクしてゆきます。このケースでは、「感情的トラブル」が「症状」に現れています。まとめてみましょう。

1)内面的・・・悲しみ、怒り、孤独、交流しない。
2)内に秘めて耐える・・・悲しみ、嘆き
3)最近結婚した女性
   普通は夢と希望にあふれている。
   しかし、夢と希望の全てが叶わなかった。
   逆に、それによって憎しみと許せない心が出てきた。
   でも、泣くことも出来ない。
  これらの結果、症状として現れて来ている。流産・甲状腺の問題として。
4)家系・・・ガン、発疹

さて、Rubricsを検討して、この感情的な推移を見て、あなたはどのレメディを思い浮かべますか? さあ、アイデアを出してみてください。

Nat-m. Sep. これくらいでしょうか?

私が投与したレメディは Nat-m.です。

結論から言うと 200C>1M>10Mという順序です。1M投与の後、4ヶ月後に、Carc.を入れました。

<経過>
●初回6月:
200C投与の1ヶ月後・・変化なし。

●1M投与後・・・少し気分が良くなった。疲労感が減り、仕事を休むのも減った。それまで一ヶ月に10日休み>2日までに減った。またホルモン検査の結果、少しだが改善が見られた。

●2月:
生理の2日前に落ち込んだが、全体としては改善。だが、再び、湿疹が出た。
Nat-m. 1M--->10M で改善。

●5月:
甲状腺に関するTSHの数値が正常に。

●12月:
湿疹完治。情緒、感情の起伏も平常に。T3、T4の数値も正常化。
そして、彼女は夫の実家に戻ることが出来た。それ以降もう何の症状も出ない。

終了。

ホメオパシーはアロパシーよりも早く治癒することが出来る。よく誤解されることだが、アロパシーでは症状の一時的な緩和はあっても、”生涯、治癒することはない”のです。これは多くの方が誤解していますが、とても大切なことです。

<質問>
Q.Carc.を使ったのは?
 A.これはノゾです。このケースでは、活力を与える目的で使った。食事の後のお茶のようなイメージに近い。この場合は、Carc.の200Cを投与。


■「CASE TAKINGケーステイキング」について

どこの国の学校でも、この扱いについては意外にもあまり知らない。これさえ出来れば仕事の半分は達成できたことになる。
例えば、服作りではサイズが的確に測れれば、とりあえず、服を作ることが出来る。ケースをとるということは、このサイズをきちんと測ることと同じようなものである。

(第4回 終わり)

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<NO.5 第5回:Case Takingの実際〜準備>

では、具体的にCase Takingについて、お話しましょう。

まず、セッションをする前に準備が必要です。
Case Takingは、セッションをする前から、既に始まっています。

1)予約の仕方から、よく観察することが大切です。それひとつからも「どんな人」か分かることも多くあります。

2)私の場合は、あらかじめ、クライアントに心構えをしておいてもらっている。以下の2つのものを事前に渡せるように準備してあります。

A.Information=「ホメオパシーとは何か」の基本的なメモ。
B.Patient note=「セッション前の心の準備書」です。
この内容は・・・
●何を答えたら良いのか?
●あなたの問題を言って頂けるように準備して下さい。
●検査データ等がありましたら、持って来て下さい。

3)さて、普通なら...
・居心地の良い部屋で
・クライアントの話し振りに注意して
・言ったとおりのことを書き留める。(順序もそのとおりに)

通常はこのように教えられる。

しかし、私はそうしない。自分が疲れてしまうから。
どうするかと言えば、もっとシステマティックに、全ての項目をもれなく記入できる様式を作っておく。「Case Taking Record」と私は呼んでいる。その項目をご紹介したい。

--------------------------------
A.予備知識

名前、住所(住環境)、電話番号等連絡先、性別、宗教、仕事、紹介者

B.Chief Complaints 主訴

(Case Taking Record / Patient's sheet:例)
--------------------------------------------------------
headache      ※もちろん準備した様式に当てはめる必要はない。


(スペースを広く取る)

--------------------------------------------------------

C.associated complaints 関連症状
i)不眠
ii)糖尿病
iii)高血圧
・・・すべて書き出す。

★様式にこだわって、話の流れを止めないことに注意。
「What else?他に何か?」-->この質問は重要!強制せずに促す方法として使える。

★クライアントが話せる状態であり続けること!
一連のことを話した後に、ひとつひとつについて、確認してゆくと良い。

(例)
「では、あなたの頭痛について、話して頂けますか?」(促しながら、確認をしてゆく)

(Case Taking Record / Patient's sheet:例)

-----------------------------------------------------------------
横軸の項目(以下4つ)

●部位・期間・頻度 location duration frequncy
●症状・病理 sensation pathology
●モダリティ modality
●付随症状 concomitance
-----------------------------------------------------------------
★縦軸の項目(以下、一例として)

●headache
●10years
●am10, or pm9
●2/7=(週に2度)
-----------------------------------------------------------------
症状・病理の内容(以下、一例として)

headache/ ●ズキズキと割れるような
●目が回るような
・・・
-----------------------------------------------------------------
★Patient Sheet(Progress Sheetとも表現できる) =治療の進行によって、どの程度改善したかが分かるようにもなる。

(第5回:終わり)

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<NO.6 第6回:Physical Generals>

前回までに「シート」の作り方について、まとめた。

これを作る目的は・・・
1.整理しやすい。
2.質問もれが分かる。(セッション中にもれに気づくことが出来る)
ことである。

※但し、全項目が埋まる症状と一部しか埋まらない症状があることに注意。

ホメオパシー的表現のひとつに「Key Notes」というものがある。
これはよく勉強して知っておかないといけない。

(例)分泌物がネバネバしている=Kali-bi.

ここにすべてが現れているわけではないが、これに閃かないといけない。


D)Patient as a Person:症状を離れた段階での人の見方

頭痛を持っている「その人」 と 「頭痛」を持った人

前者の見方が大切。「一人の人間像」として見て行くレベル。

※Rajesh Shah先生のWEB SITE に「人間像の見方」の項目がある。

1)体型体質:「Physical Generals」を中心に
暑がり、寒がり、隙間風に敏感、・・・など

2)食欲

3)切望:Craving
これは単なる好き嫌いのレベルではなく、それがないとダメという強さを伴う。

4)拒絶反応:Aversion
”習慣”の問題は別なので注意。

5)のどの渇き:Thirst


これから出すものも含め、これらの項目についてはすべてそれぞれにランク(1〜4)をつける。


さて、どうして、こういうところから始めるのか?
それは、初対面から「CENTER:本質」を理解できないから。

「部分」はよく似ていても、本質は違う。

例えば、のどの渇き=Bry. Phos. Ars.・・色々ある。

Bry.=ひどい「のど」の渇き。大量に水分を摂る。ガバガバ飲んだりする。
ARS.=チビチビ飲む。 この2つのレメディはどちらも「急性症状」にも効果があるが、レメディによって、乾き方が違う。

また、逆に喉が渇かないレメディ=Puls. Gels.・・色々ある。

※子供の病気では、この「のどの渇き方」を見るととても判断しやすい。


さて、「のど」の次に何を質問したら、良いでしょうか?

決める必要はありませんが、クライアントが答えやすいような順番にしておくことが大切です。

私の場合は、次は「汗」です。


6)Perspiration 発汗

汗が多いレメディ=Nat-m. Sil. Calc. Calc-p. など
汗をかきにくいレメディ=Bry. Alum. Graph. など
鼻だけに汗をかくレメディ=Ars. Calc.

7)Temperature 体温
<HEAT HOT
>COLD CHILLY
これらは書ききれないほど多くあります。レパートリーで確認して下さい。

体温の変化は・・・
外部気温-->脳(視床下部)-->ホルモン分泌(調整)と働く。

例えば、Nat-m. はホルモン分泌が熱に敏感なのである。影響を受けやすい。
これは、まさに「感受性」の差であるが、理由は不明としか言えない。

以上、ここまでが、「Physical Generals」といわれるところである。

(第6回終わり)

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<NO.7 第7回 Physical面の個別確認:050504>

続けて、個別身体症状を確かめて行く。

8)Physical Constitution 基本体型
背が高い。低い。やせている。太っている。・・ジロジロ見ないで、観察することが大切。

9)生理 Menses
初潮(EMP)は何時か? 閉経(LMP)はいつか? サイクルは? 流れはどうか? 固まりは含むのか?下血の色? 月経前(PM)の状態?・・・など。ほとんど生まれつきのことになる。栄養や文化の状況によっても変化はあり得るが・・。

基本的に標準的な目安がある。
EMPは12〜14歳。もし10歳なら、成熟が早いと判断出来る。
遅れやすいレメディ=Graph.Sep.Nat-m.など

このあたりまで「Physical Generals」の範囲に入るもっとも重要な情報。ひとつひとつがとても重要なもの。

10)便通 bowels

11)排尿urination

12)子供時代children
・妊娠歴(母体の状態)・病気・薬物使用 ・成長スピード(座る・立つ・話す・歯が生える・おしめが取れる等)
13)髪hair、歯teeth・爪nail・舌tongue・目eye

サラサラ髪=Sil.・・早白髪、抜けやすい・ふけ症等の特徴。

爪の・・
白い点=Sil.Nat-m.
割れやすい=Sil.
など

舌・・多くの情報がある。

歯・・ 生え方、大小、鋭さ、虫歯のなりやすさ。など
歯が悪い傾向=Syph.Kreos.
ギザギザ歯=Tub.Plb.Med.

こうしたことを捉えるには感覚を鋭くして観察する必要がある。大切なのは個人化・個別化してゆくこと。

これらの部位が化膿しやすい。出血しやすいなども先天的で重要な要素である。


14)睡眠sleep

分析方法はいくつかある。
寝つきの良し悪し。
座らないと眠れない。Rhus-t.は座ると眠れる。
AM1〜2:目覚めて眠れない=Ars.
AM3〜明け方:目覚めないといけない=Nux-v.

眠りかた色々・・
うつ伏せ=Sil.Tub.
横向きで足を交差させる=Med.Carc.
寝相が悪い=Con.

※レパートリーで個別に確認すること
「Sleep−Position」

15)夢Dream
これは潜在意識を現すもの。レメディのヒントになることもある。
非常に深く大切な情報だが、ここでは説明を省く。本を読んで勉強しておくこと。

さて、ここまでにおよそ1時間の間、クライアントと交流した。これでようやく準備が終ったというレベル。次のMind面に入れる。
br> (第7回終わり)

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<NO.8 第8回 MIND面に入る前に・・:050505>

多くのホメオパス達は、MIND面を聞き出すことは難しいと言うが、ここまで、個別身体のことを聞ければ、大抵のクライアントは打ち明けても良いと判断するだろう。
つまり「信頼の確立」が出来たことになる。普通は、自分のことについて、そんなに細かなことまで聞かれることはないから・・・。

「夢Dream」のあたりまで来ると、クライアントは「自ら」を語り始めるだろう。
次に、MINDL面に入るわけだが、その前に確認しておくことがある。それは何だと思いますか?

ひとつは『家族構成』について確認しておくことが大切。
両親・結婚・子供・祖父母・GF(女友達)・BF(男友達)・ペット・・など等
確かめておきたいポイントは2つある。

1)『その人』から見た”家族一人一人”に対する位置づけを理解すること。
2)『その人』の家族の中での位置づけを理解すること。
このどちらも必要なことである。

『本人』<---->『FAMILY』・・・この両者の関係性である。
且つ、『FAMILY』全体がどのような状況にあるのかも捉えておくこと。

もうひとつは、『仕事』です。
本人が生活している状況をより深く理解できるからです。

また、合わせて、『教育』『結婚の仕方』『結婚生活』を確認すると、そこから、これ以降に話すことになるMIND面に入る下地つくりになる。そこから、本人の責任感、苦しみ、抱えている問題が見えてくることも多い。
結果として=本人が話しやすい。ホメオパスが理解しやすい。ということが得られる。
(第8回終わり)

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<NO.9 第9回 MIND(精神):050505>

16)MIND(精神)・・最も大切な部分!
言葉からだけでは、とらえ切れない故に、「観察」がとても大切になる。よりあいまいさがあるから、身体面以上に、フォーマットを持つことが必要。

MINDとは何か?
大きく3つに分けてみることが出来る。

●感情 Emotion
●知性 Intelect
●潜在意識 Sub-consciousness

「これらから何を受け取るべきか?」
”すべての病気は精神的なものから来る”とホメオパスはよく言うが、私はそれは混乱していて正しくないと思う。正確には『内的なもの』であろう。

●感情 Emotion

「ここに入るものはどんなものがあるだろうか?」
Fear恐怖・Anxirty心配・Disappointment失望・Anger怒り・Hate嫌悪・Jealousy嫉妬・Sadness悲嘆・Grief悲嘆・Quarrel喧嘩・Joy喜び・Desire欲求・Complain不満・Love愛・Hurry性急・・など等

(例)「Hurry」という感情!
--->胃の神経へ--->胃酸が多く出る--->胃炎--->胃潰瘍へ

関連Rx.=Nux-v. Ars. Arg-n. Phos. Sulph-ac.など等

★こうした感情項目のひとつひとつについては、医師が臓器の場所を熟知する如く知っておくこと。(感情と身体の関連等)

レメディとの関連・・
「Fear」=Phos. Ars. Calc.等が関係するレメディRx.
「Anger」=Nux-v. Cham. Coff. Tarent. Staph.(軽蔑されると爆する!) Lach.(表現出来ない場合もある。その場合はいつまでも覚えていて相手を傷つける表現をしたりする)等が関係するRx.
「Sadness」=何かが起きた時、どのような反応をするのか?・・それを表現する人、しない人・・Rx.によって様々。感受性によって様々な現れ方になる。


●知性 Intelect

「ここに入るものはどんなものがあるだろうか?」
Memory記憶・Imagination想像力・Reasoning合理性・分析・知識・知力・Egoなど等

Intelligence・Reasoning 合理性・知性で働く人
・一般に知性的Rx.=Phos. Lyc. Calc. Tub.等
・そうではないRx.=Bar-c. Med. Bufo. Carc.等

・Memory記憶
記憶の弱い面も色々。レパートリーで確認すること。MIND-Memory-Weakness〜

名前
数字
道=Lyc.は迷うことが多いと言われる。


●潜在意識 Sub-consciousness・・・普通の医師はこれに関しての知識はない。
・Dream=脳のどの部分から出てくるのか?不明。しかし、誰でも見れて、ヒントにもなる。
Delusion妄想=知性(感情)のゆがみとも言える。
Intution直感=インスピレーション
E.S.P.超能力=超越した認識力・・・Clear voiceが聞こえる等。

(第9回終わり)

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<NO.10 第10回 病歴・家族病歴〜検査:050506>

■「本人の病歴」と「家族の病歴」を確認することは、本人の全体像を掴むのに必須事項である。

家族の病歴は、その家系から、遺伝子のパターンやマヤズムを理解するのに必要。
亡くなられた方の死因は何だったか?父母兄弟はどんな病気になったことがあるか?
血圧・糖尿・ガン・気管支・アレルギー・結核・皮膚病・・など等

(例)喘息の子供=家系の免疫関係の病気を引き継いでいる。
子供の結核・糖尿・ガン・肝硬変=こうした病気は家系になければ出て来にくい。

※時間をかけてもRx.が分からない時、家族の病歴から判断出来ることもある。これはホメオパシーにのみ可能なこと。

■検査Invest
「病名診断は無意味ではない」ホメオパシーの世界では、この傾向(病名無視)が強いが、この点がアロパシーから批判を受けている点。(インドでは、ホメオパシー医は病理審査も病名診断も、場合によっては手術もすることがある。お国柄の部分があるのかも知れない。しかし、同じインドのサンカランは、主訴すら無視すべきと述べている。荻野個人もここの部分は理解不可能/050506:荻野コメント)
(第10回終わり)

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<NO.11 第11回 STOP&THINK レメディを考える前に〜レメディ決定:050508>
■レメディを考える前に「ANALYSIS 分析」と「EVALUATION 評価」が必要。

「ANALYSIS 分析」・・・
これまで、身体・精神等を個別に確認して記録して来たが、それをまとめなおして全体を眺めてみる。
「MIND+GENERAL+PHYGICAL」それぞれの項目について、書き出す。

「EVALUATION 評価」・・・
上記で書き出した項目毎に「評価」をしてゆく=重要度に応じて4段階に点数化。
最重要=++++
重要=+++
その次=++
その次=+

(例)MIND:Emotion-----Intelect-----/GENERAL:--------
    anger+++ memory-weak++  cold<wet<+++

-/PHYSICAL:----------/
headpain++++

このように項目毎に点数化して同時に評価を加えて行く。点数化はその人を見てゆく時の重要度である。とても”その傾向が強い”時、点数は高くなる。

しかし、すべての記録を残すわけではない。不要なものは捨てて行くことが必要。それは、船旅の際、嵐に出会ったのに似ている。目的地に達するために不要と思われるものから捨ててゆく。「評価」とは”どれを残して、どれを捨てるか”の作業である。10個位までに絞り込めると良い。これを [GUIDING SYMPTOM]と呼ぶ。
そして、この残ったものこそ、「その人」の全体像を示す重要なものになる。それは、船旅で言うところの「救命具」のように、なくてはならないもの。

これを眺めることから、「全体像」が見えてくる。

見るポイントは、通常は、MIND--->GENERAL--->PHYSICALの順番だが、最終的には、ケースバイケースでの判断になるだろう。例えば、レパートリーで適切なRUBRICSが見つかれば、その情報は信頼性が高いが、適切なRUBRICSが見つからない時は、点数評価の対象には出来ないこともある。

ここまで、出来たら、レメディの選定はそれほど難しいものではない。自然に出てくるだろう。

■最終的な流れ=レパートライジング--->レメディの選定--->ポテンシーの決定--->ドース(頻度)の決定

特に気をつけることは「レメディを絞り込む時」である・・・
必ずマテリア・メディカに戻って見ること:そこで、ケースを再度見直して、「最類似レメディ=シミリマム」に近づくことが重要。

(第11回終わり)

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<NO.12 第12回:Plan of Action レメディ投与後フォロー:050509>

■Plan of Action
例えば、一般医学では、手術をした後、何をするでしょうか?
その後のことを説明する必要があります。これと同じことは、ホメオパシーでも求められる。

あるレメディを投与したとします。それだけですべて解決することはめったにない。何故なら、3ヵ月後に同じレメディが有効か分からない。違うレメディを必要とする可能性がある。
特に子供の急性病では、その時に、必要な緊急的なレメディが必要になることがある。もちろんこれも、「全体像」から選ぶのは同じではあるが・・。

クライアントの変化に応じて、レメディは変えてゆくことが必要になるだろう。だが、ケースがあらかじめ「計画」されたものであるなら、それほど大きな変更をする必要は出てこないだろう。

ここの部分を具体的に説明することは出来ない。何故なら、結局はケースバイケースだから。

経験的に、たったひとつのレメディで、5年間完治状態にいる人。3年間で20個のレメディを変えて完治出来ない人。いろんなケースがある。

即ち。「ホメオパシー」は経験科学である。

そこで、私たちが心しなければならないことは、
1.処方ひとつひとつが、”研究”を伴うようなものであること
2.学校やテキストで教えられたことに縛られ過ぎてはならない。
3.そして、何より皆さんの心が、クライアントに対する時、パラシュートが開くように十分に開かれていないとゆったりと安全な着地が出来ないだろう。

(講義以上)

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<NO.13 第13回:質疑応答:050511>

Q.1:インドのホメオパシー事情について?

A.西欧に比べて、とても良い。
110校のアロパシー医大と、110校のホメオパシー医大がある。もちろん、すべての大学で良い人材が出ているとは限らないが・・。
インドでは、大衆がホメオパシーの普及を望んでいる。幸運にも皆が自然医学を理解している。
もっと「医学」化される必要があると考えている。世界水準から見れば、インドは高いレベルにあると思っている。ホメオパシーの重要性を多くの人が受け入れていて、スラムの人々から首相までが自宅で使っている。

ただ、インドの大学は外国人を受け入れていない。その理由は、教育期間が5年半と長いことが大きい。皆さんに覚悟があれば、そして医師であれば、不可能なことではない。
もし、あなたが医師でないなら、教育のプライベート組織もある。=カルカッタ・ニューデリー・ボンベイ等。
1994年から、私のクリニックでも、クラシカルホメオパシーのための講座として、3週間/年は勉強できるようにしている。


Q.2:「ケース」の取り方の注意点は?

A.まずは、カジュアルな感じで臨むのが良いだろう。
●「感情」ひとつひとつについても確認して進めること。
この仕事は、とてもデリケートなことなので、「居心地の良い空間」「自由な雰囲気つくり」がとても大切。
ただ、感情についても、何でも詳しく突っ込んだら良いかといえば、少し違う。「怒り」等について、そこばかりに留まっていては良くない。

●相手が話している時は、止めないこと。
ホメオパスの意思の方向に持って行かないことと同時に、クライアントの勝手にさせてあげることが大切。

●「今の人生についてどう感じていますか?」・・・こういう質問をする時は、友人として理解したいという気持ちが必要と思われる。気難しい人と話す時は、特にそうである。

●一番、強烈な「感情 Emotion」は何か?
これを捕まえることがポイントになる。

●姿勢・癖・趣味などから、次第に「全体像」が見えてくることもある。

●「その人」の立場に立てば、「その人」を感じることが出来る。これが出来ると何を聞いたら良いのかが、分かって来る。この訓練をすることで、「自分自身」のレベルアップが実現できる。何故なら、多くの人の問題を共有出来るようになるから。

これこそ、ホメオパスになる目的のようなもの。例え、収入が多くはなくても幸せであることが出来るだろう。

<Rajesh Shah氏講義:完>

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