ホメオパシー:セルフケア
<目次>
<NO.1 基礎講座1:ホメオパシー入門 030917>
「ホメオパシー:セルフケア」は日常でよく利用するレメディキットの利用による健康管理について具体的にまとめたものです。基礎講座1は、「超初心者のためのホメオパシー入門」と内容的に重なりますが、これはこれで完結したものとしてご利用して頂けると思います。
Let's Study Homeopathy!
NO.1 基礎講座1:ホメオパシー入門
NO.2 基礎講座2:根本体質レメディ6つ
NO.3 基礎講座3:「怪我などをしたとき」
NO.4 基礎講座4: 風邪のとき使うレメディ
NO.5 基礎講座5: 神経・感情から起きる不調に適応するレメディ8つ
NO.6 基礎講座6:特に女性に関係したレメディ6つ
NO.7 基礎講座7:補講1:ケースを受け取る
NO.8 基礎講座8:補講2:家庭の問題
基礎講座は僕が初心者向けに作ったレジメです。これを基本にお伝えするようにしています。では始めましょう。基本テキストは「ホメオパシー治療薬(ロビン・ヘイフィールド著・産調出版)」です。
まず、皆さんに考えて頂きたいのは、「健康」と「病気」の違いについてです。
「健康」って何でしょうか? そして「病気」って何でしょうか? そして「症状」って一体何でしょうか? これを頭の隅に置いて頂きながら、本論に入りたいと思います。
『ホメオパシーとは何か?』
1.基本と歴史
●HOMEOPATHY(同種療法)=
「同じ苦しみを持つものが同じ苦しみをもつものを治す」
「健康な人に投与したときある症状を起こすことが出来るものを、その症状の患者に投与すると治癒してゆく」・・・理解できますでしょうか?
●原理の発見=ハーネマン/ホメオパシーの父(200年前のドイツ人医師)
「CHINA」に関する記述への疑問からスタート。
「苦いから効く?」そんな馬鹿なことがあるはずがない。
そこで、彼は健康な身体の自分が飲んでみた>発見!
★ここで起こったことを考えて見ましょう。
●当時の医療の状況=英雄医学「瀉血」主体の厳しい治療・死人も多かった(ワシントンやモーツアルトなど)
●元々かなり昔から発想はあった。=
・エジプト時代>ギリシャの医聖ヒポクラテス/ホメオパシーの祖
・化学者(錬金術師)パラケルスス=「特徴表示説」/神が特徴を刻み込んでいる。「EYEBRIGHT」など・・(色・形・模様)
>これらを「ハーネマン」が体系化した。
・日本の「おばあちゃんの知恵」=「喉が痛いときのしょうが汁」等
●欧州での浸透=
・ナポレオンのイタリア遠征でチフス流行>ホメオパシーでは死人なし。正統
医学では3分の1が死亡。>フランスで評判!(今も盛ん)
・イギリスでコレラ。死亡率ホメオパシー16%。正統53%。
●挫折・停滞=
・アメリカ=1900年代がホメオパシーを講座に持つ医科大学が40−50
%。その比率が1930年代には「0」になる。米国医師会の台頭。
・2つの世界大戦で、傷病者に対する「抗生物質」「手術」の即効性・発展に圧倒された。
●近年=復活の兆し
・現代医学は緊急医療と一部感染症には卓効があるが、次第に比率が増え始めた慢性病には効果がない。また抗生物質の過剰使用から耐性菌がでて以来これまでの方法では限界がある。・・と専門家も考えるようになってきた。
・特にこれまでの理論重視から臨床効果をより重視視すべきという人が増えた。EBM(臨床効果の検証)重視へ。
・ホメオパシー=進歩がないように見えた。しかし、徹底した「実証主義」の医療!新しい科学の知見。量子力学の発展/「波動」の存在。量的アプローチと共に「質的アプローチ」も効果があるのではないかという研究者の増加。「モノ(量)」>「情報(質)」の働きに注目。
●ハーネマン以後=「ケント(レパートリー)」、「へーリング(治癒の法則)」
・・・
現代=「ビソウカス(ギリシア)」「マッシモ(伊)」「サンカラン(印)」「ショルテン(蘭)」等
●盛んな地域=英・仏・独・オーストリア・スウェーデンなど欧州。そしてインド・オーストラリア、南米、アメリカ(未だ少ないが、最近増えつつある)。
2.基本原理
●人が元々持っている「VITAL・FORCE(以後V・F):生命エネルギー」の力を発揮させること。従って薬物治療のような副作用が起きない。(自然治癒力の発現を促す療法=考え方は漢方にとても似ている)
●「V・Fとは何か?」
いわば、「生」と「死」の間にあるもの。
(目に見えないから科学として認めにくい)
「生=秩序と再生の連続」×「死=腐敗と分解へ変化」
*一方では人それぞれに生死の連続が常にある。=新陳代謝
●生きている限り=「中心」から外に向かう連続した「力」がある。これが心身の不調を修正し健康を維持しようとする。怪我や病気からの回復など。即ち「生の秩序」
●「症状」とは元々治癒の現れ(始まり)>それを手助けしてやる。その後押しには「類似したもの」が力を発揮する。この症状を抑制してしまうと病は内部に隠れ、将来より重大な問題に発展する可能性がある。熱・下痢・嘔吐・痛み・・等
●痛み・熱=治癒の現れ/治癒の回路=ドミノ倒しのように「中心から外に」向かって絶え間なく「力」が働く。
●現代医学との関連
これは「一次的に症状を抑制・緩和している内に本来の自分の力で治してゆくもの」特に近年の問題は薬物の副作用と慢性病への効果が少ないこと。
3.レメディとは
ホメオパシーによる変化は気のせいではない。一番よく利用され、変化が期待できるのは幼児と動物。
●類似療法=「その人のエネルギー」と類似(共鳴)する「モノのエネルギー(レメディ)」を投与することと考える。元々病気は「その人のエネルギー」が病気を引き寄せる傾向がある。それは「その人の全体像」からわかるもの。
★症状は「原因」ではなく「結果」であることについてよく考えて見ましょう。
●レメディの希釈=
例えば「30C」などあまりに薄くて分子はない。濃度から言うと「10の60乗分の1」。ホメオパスがよく利用するのは6C、30C、200C、1M等。
●作り方=100倍に薄めるたびに振蕩する。その時にエネルギーレベルが高まると考えられる。(科学的裏づけはいまだ出来ていない。あるのは仮説と臨床だけ。)
●薄め方の差=C法(100倍法)とD法(=X法/10倍法)の2タイプ。
●本来人は自然に治って行くはず。進むべき「治癒のドミノ倒し」の流れが滞っている。その「滞りを作っている邪魔」を連れ去ってくれるのがレメディの働き。(鍼灸に似ている)
●「その人」と共鳴する「レメディ」を探す=「問診」「観察」「周りの意見」等。
その方法は「症状」と「全体像(中心)」の両方を捉える。
●重要度=精神>全体>部分の順番(「その人とは?」を考えてみると・・)
●レメディの効果
・レメディが合えば「一次的悪化」がある。一般に急性症状は短時間。慢性症状はやや長時間。 V・Fが病気の病因(DISTURBANCE)を押し出そうとする働き。
・合わなければ何も起きない。
・合っているかどうかの見極め方(全てが一次的悪化とは限らないので注意!)
「ヘリングの法則」を覚えましょう。
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★「へリングの法則」=いずれも一次的である。期間は個人差・症状にもよる。
1)心から身体へ(内的な不安の高まり>やがて静まる。イラツキの減少など)
2)中から外へ(熱・下痢・胃のむかつき・嘔吐・発疹など)
3)上から下へ(頭・顔から首・身体へ、お腹から膝へなど)
4)重要なところからそうでないところへ(内臓から四肢へなど)
5)期近な症状から古い症状に順番に
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5.レメディを探す方向性2つ
●「マテリア・メディカ」と「レパートリー」でレメディを見つける。
・「マテリアメディカ」というレメディの薬効書と「レパトリー」という症状別の字引がある。この2つを使い「その人の症状と全体像に最も類似したレメディ」を見つける。
・ポテンシー(6C、30C、200C、1000C=1Mなど)の選択。
基本的には「その人」のエネルギーレベルに合わせる。(一般に子供や妊婦はハイポテンシー。ご老人・弱った病人にはローポテンシー。30Cは真ん中のレベル)
6.「その人」の症状像(全体像)を捉える
●症状像(全体像=中心)を捉える。
・「今の」「その人の」「何(原因)が」その症状をもたらしているのか?
・「いつから?」ということがその原因のヒントになることが多い。
・重要視するべきことは「1/M精神 2/G全体 3/P部分」の順番。
「全体像」が類似していれば何らかの変化が期待できる。
●レメディの選沢ミス様々・・
・自分の気持ちを強く投影する。自分の勝手な解釈をする。経過を待てない。
相手の言葉をじっくり聞けない。相手が本当ではないことを言う。・・等など
7、実践が大切!
●出来るだけレメディを使ってみる。自分でも試してみる。そして一定の時間を開けてどんな反応があったのか?その経過を書き留める。この繰り返しが必要。
・必ずしも問診をするということに囚われず、常に「人をみる」習慣が大切。
・使うことでレメディに対する理解が更に深まる。
●具体的なレメディの飲み方
・水などで飲まない。舌下でゆっくり溶かす。前後20分程度は口にものをいれない・歯磨き・歯の治療前後は避ける。レメディ服用時は特に臭いの強いものは避ける。・珈琲・お酒・タバコも出来るだけ控える方が良い。
★基本的に30Cレベルなら1日1粒/回で充分。決して飲み過ぎないこと。*プルービングが起きる。(飲みすぎは害になることがある。一つのレメディを4日以上続けて飲んではいけない。幼児には1粒で充分。いくら多くても2粒まで。)
注:多く飲ませすぎるホメオパスにはどういう考えでそうしているかを確認のこと。レメディは薬ではない。多ければ効くという考え方は普通のホメオパスにはない。問題は如何に「類似したレメディ」を選ぶことが出きるかである。
*プルービング:マテリアメディカの基本的情報となるもの=「健康な人に与えた場合起きる変化」の実症情報データ。これが起きると様々な症状が出ることを知っておくこと。その症状は大抵は一時的であるが、これに対して新たにレメディをとるとまた違うことが起きてくる。
8.決して無理はしないこと。「困ったら病院へ」が原則。
・急性症状が出ている時に、レメディを与えても変化が現れず、当初の症状がドンドン悪化してゆくときは、病院へ行くこと。
『ABCレメディ』
A=Acon.アコナイト>「突然の」症状に(風邪・他のいかなる症状にも)(p.100)
B=Bell.ベラドンナ>「突然の拡張的」症状に(同上/顔が赤く汗などかく)(p.104)
C=Cham.カモミラ>「もう我慢できない!」(子供・女性のヒステリー状態に)(p.110)
★今日は3つのレメディだけは覚えて帰りましょう。
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基礎講座1「ホメオパシーとは何か?」 以上
<NO.2 基礎講座2 根本体質レメディ6つ:03/09/28>
まず、反省です。根本的なことも含めてもう一度考えてみましょう。
質問2つです。お答え下さい。
Q1.「マテリア・メディカ」(*p.99〜)のレメディ毎に情報が書いてあります。その情報は何を根拠にしているのでしょうか?
Q2.ABCレメディは何だったでしょうか?
*基本テキストは「ホメオパシー治療薬(ロビン・ヘイフィールド・産調出版)」です。該当頁はこの本を参照して下さい。
今日から具体的にレメディのことを学びます。レメディについてまとめておきます。
1)レメディはいわゆる「薬物」とは違います。
「何か生理化学的にある方向に作用するもの」ではありません。
「薬」の大半は「抗・・作用」や「消炎作用」を持つもつものであり、根治することを目的とはしていません。レメディは「その人」本来の(健康な)姿を取り戻してゆくためのものです。
2)ホメオパシーではレメディを「人間」のようにイメージすると理解しやすくなります。それは「類似の法則」によって「その人の症状像」と「レメディの症状像」と比較検討するものだからです。
3)「全体像」が似ていれば似ているほど効果(自然治癒が働く)が高い。レメディは丸覚えするのではなく、その原料が元々、どんなものか?どんな特性(毒性)があるか?など考えると理解しやすくなります。それがそのレメディのエネルギーの姿を示唆しているからです。
4)レメディは「量ではなく質の次元」のものです。
ですから、「多く飲めば良くなる」と考えるのは間違いです原則は1人の人に1種類を1粒投与するものです。(30Cポーテンシーで1日当たり)
できるだけ、少ない量で「その人」が持ち合わせている内的な力を引き出す方が人はより高い健康レベルを得ることができます。
例外は今まさに、激しい症状(怪我・熱など)が出ている時=連続投与しても良い。
または緊急を要するがレメディの選択が出来ないとき=複数投与しても良い。
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さて「6つの根本体質レメディ」を見て行きましょう。
レメディは「人間」と同じように考えるとイメージしやすくなります。レメディは直訳すると「薬」ですが、「人間」についての説明と捉えると理解しやすくなります。
<NO.1 Calc. カルク・カルボ Calc.P.36>
「カルクさん」は牡蠣の殻の白い部分を原料に出来ています。
その成り立ちから分かるように「内側の柔らかいものを外側の堅いもので守る」というイメージが沸いてきます。つまり「防御」と「安定した秩序」という2つのテーマ(キーワード)を持っている。これがこのレメディのエネルギーイメージです。
ここで言うテーマとはその人を根本的につき動かしているエネルギーの姿のことです。生後1年以内の赤ちゃんは「擬似的Calc.」であり、赤ちゃんが具合が悪い時、効果が出ることが多い。(母胎というパラダイスからこの世という現実へ)
他に歯の生え替わり・思春期・更年期など人生の節目に重要なレメディです。
子供では特に歯・骨に関するトラブルに良い。(安定した成長に必要だから)
大人では一般に色白。ぽっちゃりタイプが多い。リンパが腫れ気味の人なども。
具体的には(マテリア・メディカ参照)
●多くの怖れと心配を持っている。=「恐がり!」
・目を閉じるのが怖いという子供。
・大人では狂気への怖れ・人から見られる怖れ・健康に対する怖れ・貧乏への怖れ・残酷なことを見るのに耐えられない・・など
●「マイペース」=大人では責任感のあるしっかりした仕事をする。
仕事ぶりは職人気質的なやり方が得意です。
●子供の場合は大人から見ると「のろま」に見えるかも知れない。しかし、ゆっくりだが着実に自分のものにしてゆくところがある。
●特徴的な点は
・太っていることが多い。太りやすい。或いは太るのを嫌がる。
・寒がりで風邪をひきやすい。
・甘いものと半熟卵(牡蠣のイメージに近い)が好き。デンプン好き。
・多くの汗をかく。汗は酸っぱい臭いがする。
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<NO.2 Sulph. サルファー:硫黄 p.46>
「サルファー」というレメディは硫黄(いおう)からできています。
「THE KING OF REMEDY」とも言われます。
これが持つエネルギーのイメージはどこかマグマのような爆発的なものを持ち合わせた人に合います。キーワードは・・・
「HOPEFUL DREAMER」そして「爆発的」です。
具体的に言えば・・・
・創造力+想像力旺盛。アイデアが一杯な人。但し、出来ることも出来ないことも考えずに出すのでアイデア倒れになることもある。
・哲学的または実際的
・だらしない。部屋や机は汚く散らかっていることが多い。でも掃除をするときは徹底してきれいにするかも。だらしないのは、ひとつのことにとても集中していて他のことがお留守になるからです。
特徴的な点は
・暑がりで外気が好き。特に手足が熱い。
・昼前に腹がへる。腹がへるとどうしようもない。
・朝起きて下痢になったりする。
・リンゴ好きで卵嫌い。
・身勝手
・男性性(イメージ)
*備考
このサルファーに限らず、大人では長い経験や社会への適応プロセスで「大人のよろい」を着ているので分かりにくいのですが子供のレメディは比較的よく分かるものです。
子供の成長と健康管理にホメオパシーはとても有効です。ここでご紹介している「根本体質レメディ」は深く広く効果があり、これらを理解しておけば、子供が体調の悪い時、なかなか回復しない時、他のレメディで効果が無い時、助かります。
人は生まれながらに先祖からのある体質を受け継いで生まれて来ます。エネルギーレベルの高い子供時代にそういう負の因子を外に出してしまうことで生涯健康に暮らせる基盤が出来あがっていきます。子供は熱を出したりしながら、より健康な成長をして行きます。
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<NO.3 Phos. フォスフォラス:燐 p.42>
フォスさんは「リン」です。
さて、「リン」と聞いて何をイメージされますか? ちょっと考えてみましょう・・・
フォスさんはいつも「何かと結びつかないとこの世に存在出来ない」物質です。何か他のものと結びつくことによってその存在が輝いたり、くすんだりします。テーマは[TOO OPEN」 つまり「あまりにも開きすぎている」というタイプです。
また、フォスさんは「火のレメディ」とも「放射のレメディ」とも言われます。
「フォス」さんはエネルギー交換がうまく行く内はとても快調ですが、交換がうまく行かないとエネルギー不足に陥り、くたびれたり、無関心になったりします。「マッチ」のことを考えると理解しやすいと思います。
主な性格・傾向イメージは・・・
・外の影響を受けすぎる。
・同情的で愛情深い。人のことを自分のことのように考えたりする。
・恐れと心配だらけ。特に雷が怖い。天候の急激な変わり目に不調。
・暑さ・寒さに敏感。冷え性の人が多い。
・喉が乾き、冷たい水を飲みたがる。アイスクリームも好き。
・眠りで回復。たとえそれが少しの時間でも。
・時に千里眼的な能力を備える。
・疲れやすい。
・呼吸器にトラブルが出ることが多い。
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<NO.4 Puls. プルサティラ p.45>
プルサティラさんは別名「ウインド・フラワー」と呼ばれるセイヨウオキナグサを原料とします。風にそよぐ可憐な花びらを持っていますがその根っこは結構しっかりと大地に張っています。
女性に関係の深いレメディです。「逆子のレメディ」でもあります。
このレメディのテーマは「見捨てられたくない」です。
見捨てられたり無視されたりすることに「強い恐怖心」を抱きます。ですから、自分に注意を向けるためにいろんなことをします。典型的なのは子供時代によく病気をすることです。それが別名「レメディの女王」とも呼ばれる所以です。
「プルサティラさん」はマイルドで優しい感じの人ですが本質的には強さも持っていて、「見捨てられない為には何でもする」ことがあります。
外見的なマイルドさとは裏腹に内的に頑固な一面があることも特徴です。
「根っ子のしっかり感」を覚えて下さい。
主な特徴
・優しい・マイルド・従順・臆病・涙もろい
・寒がり。だが暖かさも我慢出来ないところがある。外に出て好転。
・喉はあまり渇かない。
・意外に好みがうるさい。
・なぐさめられたい。
・食べ物はコッテリ系は苦手。サッパリ系が好きです。
・濃くねばっこい分泌物
部分的にフォスフォラスにも似ていて見分けがしにくいことがあります。プルサティラさんは表面的にマイルド。でもどこか人に従うことを拒絶する感じ、つまり内的に気むずかしいところがあります。
*備考
ここに書いてある特徴がすべてあてはまる方はいません。何よりも「全体像」を捉えることが重要です。個々の特徴はなかなか覚えにくいもので、ひとつひとつ覚えようとすると何が何だか分からなくなりますが、まず初めにこれらの根本体質レメディを理解しておくと次第に、「全体像」の違いについて理解できるようになっていきます。
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<NO.5 Nat-m. ナット・ムール p.40>
「ナット・ムール」は塩(岩塩)です。
このレメディのテーマは「思い出・哀しみを塩漬けにする」です。とても繊細で傷つきやすく、基本的には防御的で閉鎖的です。
「ナット」さんは傷つけられることを怖れ、自分の周りに高い壁(塩のバリア)を作ります。人とは交流しますが、決して本音では交流しようとはせず、あくまで表面的に理性・知性の部分でつき合います。
それだけに内部の感情面は未熟な点が多く、塩の壁の内側は極めて裸のままの本質があり、強く「純愛」を求めたりします。概して理系の方が多いようです。
主な特徴は
・過敏で傷つきやすい。(傷つきたくない。傷つかせたくない。)
・拒否されることを怖れる。
・過去の嫌な出来事を繰り返し思い出す。
・慰められるのは嫌い。
・人を許さないところがある。しかし、信頼する人には極めてオープン。
・塩気のある食べ物が好き。
・一人でいることが平気。
・喉がよく渇く。
・太陽など暑さで悪化(苦手)
・海は好きだが行くと悪化することが多い。
・音楽を聴きながら自分を悲しむ風がある。まるで悲しみを楽しむかのように。
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<NO.6 Lyc. リコポディウム又はライコポディウム p.38>
「リコポディウム」はスギコケから作られるものです。
そのテーマは「自信がない」です。
このタイプの人は自信はないのですが、能力はあることが多く、人に失敗を見られたりするのをとても嫌がります。
「ライコさん」はその自信のなさを隠そうとして「傲慢」になったり「横柄」な態度をとることもあります。その一方で元々能力がある故に努力家でもあります。その「自信のなさ」をカバーしようとしてとても頑張ることがあり、しばしば、社会的に成功者となることがあります。弁護士・経営者・大学教授など・・いわゆる「先生」
主な特徴は・・・
・ひどい自信のなさ。
・それを「傲慢さ」でカバーしようとする。
・責任を避ける。新しいことを引き受けるのが嫌。
・外面は良いが家では暴君。(内弁慶)
・決められない。責任をとることを避けたがります。
・寒がり。だが外気を好む。
・胃腸が悪い。特にガスが溜まりやすい。ゲップも多く出たりする。
・「右側」に多くの不調。
などです。
*備考
Lyc.のような傾向は多かれ少なかれ誰にでもあるもので、深いレベルでは誰にも作用すると言われています。
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これらの「根本体質レメディ6つ」を学んでどうお感じになりましたか?
恐らく、皆さんも自分にもこういうところがあると思われることでしょう。いずれもとても広く深いレメディばかりですから。
これから色々学んでいくと、自分がいつも同じエネルギー状態にあるのではなく、その時の・環境・状況に応じて「自分」は常に変化していることに気づかれることになることでしょう。それが生きているということに他なりません。ホメオパシーはそういう気づきをもたらしてくれるものです。
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基礎講座2 根本体質レメディ6つ 以上
<NO.3 基礎講座3 マテリアメディカ1「怪我などをしたとき」:03/10/13>
まず、皆さんにご質問します。
Q1.6つの根本体質レメディは何でしたか?( )
Q2.それぞれの特徴を言ってみましょう?
くどいようですが、レメディについて再度復習します。
1)レメディの文字だけでの丸覚えは役に立ちません。また、「症状」だけで考えても効果の出ないことも多くあります。
「レメディの全体像(イメージ)」で身につけるようにしましょう。それと「その人の全体像」を比較して類似性を見つけることが大切だからです。
2)レメディが「その人」と類似したとき、「回復の過程の一時的悪化(好転反応)」を病気の進展と考えてしまうことがあります。これが出た時はじっと経過を観て下さい。
急性症状の場合はすぐに変化が現れます。現れなければ、レメディが不適切と考えて下さい。違うレメディを考えてみましょう。但し、経過も診ずに次々飲ませることは避けましょう。「飲む>経過観察>変化の有無を確認>変化なし>次を検討・・」という感じです。
子供さんの場合などで、全体的にぐったりした感じがある時はためらわず、病院に行きましょう。ホメオパシーでは薬物治療後にもできることもあります。あれこれ迷うことは子供に不要な不安などを与えてしまうからです。親の不安が子供の症状を悪化させる原因になることもあります。
3)「症状」は悪いことではなくて、V・Fの正しい働きの現れ。それは「治癒の始まり」であり、「表現(バランス異常のお知らせ)」とも言えます。レメディは治癒の方向に手助けする役割を果たすもの。症状を抑制することは、V・Fの働きにブレーキをかけることになります。
4)へリングの治癒の法則(レメディの働きが治癒の方向にあるか?の判断基準)
これは必ず、覚えて下さい!
・中から外へ(熱・下痢・嘔吐・むかつき・発疹など)
・上から下へ
・心から身体へ
・より重要なところからそうでないところへ
・一時的悪化はまず一番期近に出た症状から、そして次第に古い症状へ
*本人が一番治したい症状が最初に良くなるとは限らない。それはV・F次第です。
5)これまで基礎講座で学んだレメディ
●ABCレメディ3つ Acon.Bell.Cham.
●根本体質レメディ6つ Calc.Sulph.Lyc.Nat-m.Phos.Puls.
以上9個のレメディ。今は覚えていなくてもレメディの「イメージ像」を理解しておけばいざという時に使えるようになります。「使うことで次第に覚えましょう」それしか道はありません。
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今日は「主にケガに使われるレメディ」=10個>これで19個になります。これで峠を超えました。(36個の内)
最初は一覧で覚えて下さい。似たような名前が多く覚えにくいからです。
テキストは「ホメオパシー治療薬(ロビン・ヘイフィールド・産調出版)」参照のこと
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1.ケガ
●Arn.アルニカ(P.103)=打撲的ケガ・出血(鼻血も)
●Hyper.ハイペリカムorヒペリクム(p.116)=神経のArn.
●Calen.カレンドラ(P.107)=消毒レメディ
●Led.リーダムorレドム(P.120=深い傷(類:Heper.)
●Ruta.ルータ(P.128=捻挫[骨・関節・手首・足首・腱]と疲れ目)
●Rhus-t.ルス・トクス
(p.126=捻挫・筋違い・筋肉の痛みと強ばり。それを伴う風邪にも効果)
2.腫れ・化膿・火傷
●Apis.アピス(P.102)=腫れ・火傷
●Hep.ヘパル・スルフ(P.115)=膿む
●Canth.カンタリス(P.107)=火傷(ぼうこう炎にも効果)
3.その他
●*Carb-v.カーボ・ベジ(P.109)=生き返りのレメディ(酸欠)
(類似:Chin.チャイナ)
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まず、「怪我とは何でしょうか?」 ただ偶然に起きる災難とお考えでしょうか?
ご自身の経験や周りの方のケガについてよく考え直して見てください。意外な発見があるように思います。では具体的にレメディの勉強を始めましょう。
1.ケガのレメディ
●*Arn.アルニカ(P.103) うさぎぎく
「孤高の植物」
山頂に生息。生息土壌が荒れている場所で健気に咲く黄色い花。
打撲的怪我=強く頭を打った等。皮膚が破れていないもの。鼻血。それによる恐怖。
「ケガ・事故の場合即 Arn.を!」手術前にも良い。(不安を和らげる)
*とても深いレメディでもある。「心の怪我=トラウマ」
(症例紹介)
ひどいニキビで悩んでいる若い女性。
<状態>
・ニキビが左右対称に出る
・生まれる前にお母さんが階段から落ちた。
・何故落ちたか?・・お母さんがせっかちでいつも時間が足りないと焦っていた。片づける時間がなくやることばかりが増えて行く。
「落ちたという打撲的ショック+その時のお母さんの精神状態。」が「Arn.的」
ここでは、何十年も前の胎児であった時のトラウマが「今」の「彼女」に影響しているケースということです。「トラウマ」は生まれる前から影響がある。
Arn.で快癒。ニキビの改善と共にせっかちな感じも緩和。
こうしたトラウマ的レメディは他にも多くある。Acon.もそのひとつ。問診するとしたら「不調はいつからですか?」と質問すること。そこに重大なポイントがあります。
<レメディポイント>
1.ちょっと触れても痛く、打撲した感じ。怪我。
2.触られたり、近づかれたりする事を恐れる。
3.不快で悪臭を放つ排出物。
4.頭は熱く、体は冷たい。
5.睡眠から始まる(事故や突然の恐怖や驚きなどの後)。夜悪化。
<その他の特徴>
・重病なのに平然としている。
例:「医者はいらない。大丈夫。ほっといてくれ。」医者嫌い。医者不信。
・触られるのが嫌。一人にして放っておいて欲しい。
・顔が赤い。・肉体的疲労 ・すぐ青アザが出来る。
・表面的外傷だけでなく、出産後、手術後、尿道結石の処置後などにも良い。それはある種のショック後であり、「傷」でもあるから。
・湿疹が左右対称に出ることがある。
・ベッドが固いと感じる。
●Hyper.ハイペリカムorヒペリクム(p.116) オトギリソウ
<ポイント>
・通称「神経のアルニカ」
破れた傷に使う。手術後にも良い。(個別にはマテリアメディカ参照のこと)
・もし膿みそうならCalen.を使う。(消毒効果を期待)
・胃潰瘍の傷にも良い。 ・床ずれにも良い。
・尾てい骨をドンと打った時。ここは脳神経の末端。神経を痛めた後の神経痛。
・汚いケガ(犬に噛まれた時など)
・産後尾てい骨が痛い時(座骨神経痛)
・生理前に身体全体が悪化する時使うレメディのひとつ(他にも多数あるが・・)
・破傷風の予防にも使う。
●Calen.カレンドラ(P.107) キンセンカ属
・傷の消毒=傷口が開いている傷。皮膚が破れている。
・化膿予防。
<補足>
・手術前にArn.手術後にCalen.が一般的。・いずれも外用クリームがある。
*備考
レメディの原料はパワーをもつものが使われる。ハーブや毒物が利用されているのはそのため。「影響を与えるだけの強いエネルギー」を持ち合わせている。
●Led.リ−ダムorレドム(P.120) ラブラドル茶/湿原の植物
・Hyper.より深くて細い傷に良い。
・人間嫌い。孤独。細かいことが気になる。心の傷も類似の形。
<その他特徴>
・冷たい湿気で好転。
・寒がりだが暖かいベッドで悪化。−−−−−−>(類似レメディは? )
・足を冷水に入れると好転。(痛風の症状に類似)
・虫・蚊に刺された時にも効果。
●Ruta.ルータ(P.128)ミカン科の多年草。(類:Rhus-t.)
「捻挫レメディ」動きとの関係が深い。骨・筋肉・関節・腱・動脈・目
<その他特徴>
・じっとすると悪化。
・目を使った後、火のように燃える。ボヤーと見える。眼精疲労。
・食べてすぐ腹が減る。
・食べて戻すが牛乳で好転。
・冷たい水を飲みたがる−−−−−−>(類似レメディは? )
・筋肉・関節痛は押さえると好転。
・転びやすい。「捻挫のレメディ」だが捻挫しやすい人とも言える。
・釘で刺されるような頭痛。
・暖かい部屋で好転。(Led.と反対)
●Rhus-t.ルス・トクス(p.126)つたうるし。
皮膚、関節、粘膜(胃腸)に関係が深い。関節筋肉の痛みを伴う風邪にも卓効。
<ポイント>
(精神)
・ひどいいらつき。心身共にいつもじっとしていられない。(うるしかぶれをイメージして下さい。)
・痛くても動く。そして、動く(姿勢・体勢をたえず変えるなども)と改善する。
・リウマチ・関節痛・ギックリ腰に効果。
・夜に不安。
<その他の特徴>
・冷たい・湿気があると悪化。
・舌が白い。先だけ赤い。
・喉が渇く。しかし、冷たいものを飲むと悪化。(Bry.ブライオニアは飲むと好転)
・湿疹=痒くて痛い。熱い。汚い湿疹。慢性湿疹に効果。
(補足)繰り返しますが「全体的な症状像(イメージ)」が合うかどうかがポイント。
あらゆることにおいてこれが大切! 例えばリウマチ的症状でも、「痛い」と言いながらも動いて良くなる場合はRhus-t.=ルス・トクスだが、痛いと言ってじっとしている方が良い場合はBry.=ブライオニアの方が適する。「病名」ではなく「全体的な症状」を見ること
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2.腫れ・化膿・火傷のレメディ
●Apis.アピスorエイピス(P.102) 蜜蜂
蜜蜂に刺された時と同じ症状には効果あり。=「腫れて熱く赤く」なる
別名「未亡人のレメディ」=元気なのに働けなくてストレスへ
ジェラシー・怒っている・気むずかしい・オッチョコチョイ・あきらめやすい。ワーカホリック。
<ポイント>
1.焼ける様な/針で刺す様な痛み;熱で悪化;冷やすと好転。
2.ピンク色、蝋のように青白く透けてみえる腫れもの、触られる事や圧迫に極端に敏感。
3.嫉妬深い、空しい忙しさ、そわそわする;ぎこちない。
4.右側の疾患;又は右から左へ。
5.温血。
6.喉の乾きがない。
<補足>
・扁桃腺の炎症にも効果。
・暑がり。暖かい部屋で悪化。
・冷たい湿布で好転。
・皮膚疾患。
・急性的炎症には全て効果。例えば卵巣炎。
但し、右側。又は右に始まり左へ広がる。(類:右=Lyc.反:左=Lach.)
・溶連菌の炎症にも(類:Bell.)
・ポリオ予防接種後の不調に。(症状イメージが合えば)
・脳炎のような症状。
・火傷にも良い。(腫れて熱く赤い時)
・痛みの場所が良く変わる。−−−−−>(類似は? )
●Canth.カンタリス(P.107) スペイン蝿(2.3o大のもの)
「火傷・膀胱炎のレメディ」
これに刺されると叫ぶくらいの焼けるような痛みがある。皮膚にブツブツが出る。
更に尿管にも影響を与える。
・「激しい」がキーワード。
・近づかれるのを嫌う。叫んだり・かんだりする。
・性欲がとても強い。(膀胱炎の時は特に) しかし、SEXで悪化。
・水で悪化。 ・眩しいものを見て悪化。
*備考
抗生物質を飲んでいるときはレメディの効果は出にくいことに注意。
●Hep.ヘパル・スルフ(P.115) 作り方=牡蠣のカラ+硫黄
「化膿して痛む時」に良い。*非常に深いレメディでもある。
中心テーマは「あらゆるレベルで無防備・過敏」です。何のバリアもないかのような「生(なま)」の感じ。この人はまず安全でないという感覚が出る>「守ろう」とする>「安全・お金・地位」にこだわる+激しい反応。
(安全へのこだわり/類似 Bry.ブライオニア)
<ポイント>
1.痛み・寒さなどちょっとしたことにひどく敏感。
2.暴力的で激しい。人を脅す。不作法。突然の殺意の衝動(行動まで行かない)。
3.ひどい寒がり。(最も寒がりなレメディのひとつ)
4.酸っぱいものや刺激物を求める。
5.縫うような痛み。割れるような感じ。
<その他の特徴>
・スカーフを暖めてから巻く。
・晴れた時悪化、湿気の多いとき好転。=とても珍しい(類:Caust.)
・普通より痛みを深く感じる。他人の苦しみに共感。悲しいストーリーは聞けない。
・放火する人が多い。
3.その他
●*Carb-v.カーボ・ベジ(P.109) 木炭
「生き返りのレメディ」=酸欠状態に効果。脱水状態では=>Chin.チャイナを使う
・「生」に無関心・無頓着。青白い顔で生命力が低下している感じ。
・欧州では昔からお腹の薬としても利用されている。ガス抜きや便秘に。
・胃腸の不調に使うと言う意味ではNux-v.ヌクス・ボミカにも似ている。
Nux-v.で改善出来ないときにこれを使う。
*要注意
衰弱している場合、むやみにハイ・ポテンシーを与えてはならない。
<ポイント>
1.低い生命力、鈍さ、怠惰、冷え。
2.新鮮な空気を渇望(換気したがる)。<暖かく湿った天気(蒸し暑い天気)。
3.手足の氷の様な冷たさ;青白い。血液が流れず澱んでいる様な感じ。
4.過度の鼓腸;満腹感;一時的に>げっぷ。
5.ウエスト廻りの服のきつさに耐えられない。
6.消耗性の病気、出血、長い間の授乳、など 以来よくならない。
<その他の特徴>
・手術の後、お腹にたまったガスが出ないときに。
・風が欲しいと言う。扇風機や団扇であおいで欲しい。
・手足は冷たい。冷や汗。低血圧的。
・寝る前に悪化。・身体を縛るものを嫌がる。
(基礎講座3 終わり)
<NO.4 基礎講座4:マテリアメディカ2 風邪のとき使うレメディ11:03/10/26>
では、復習から始めましょう。
レメディを選ぶ切り口は2つです。
1.「その人の、今の、全体像」からアプローチする。
2.「症状」からアプローチする。
1.は「マテリアメディカ」の情報からレメディとの「類似性」を求めます。
2.は「レパートリー」から探します。
基礎講座ではまず、「症状」を元にしてレパートリーから候補のレメディを選び、マテリアメディカに再度戻って、「その人」に一番類似したものを選ぶことを学びました。これは専門的処方をするときも基本的には同じやりかたです。
1.(全体像)か2.(個別症状)かどちらを優先するかという判断の迷いが出てきた時は1.(全体像)を優先します。
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今回は「実際に症状が出たときにどうしたら良いのか?」を考えて行きます。
今回は誰でもよく経験する「風邪」をサンプルにして「全体像(症状像)」をどう見て行くか、実際に使えるように考えて行きます。
1.風邪のひき始め
*・アコナイトAcon.=P.100(テキストの該当頁)
*・ベラドンナBell.=P.104
2.進行した風邪の症状
・ゲルセミウムGels.=P.114
*・ルス・トクスRhus-t.=P.126
・ブライオニア又はブリオニアBry.=P.104
3.風邪の終わりの咳の問題
・ドラセラDros.=P.112
・アント・タルトAnt-t.=P.101
・イペカIp.=P.119
4.その他 急なひどい痛み(疝痛)
・マグ・フォスMag-p.=p.121
*・カモミラCham.=p.110
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さて「風邪とは何でしょう?」
「風邪=抗生物質。消炎剤。解熱剤。鎮痛剤。咳止め剤。下痢止め。・・」という処方をされたことはありますか?
風邪と言っても、人によって出る症状は違います。例え同じウイルスでどうして人によって症状が違うのでしょうか? そして、インフルエンザが流行しても掛からない方もおられるのは何故でしょうか? 考えてみて下さい。
1.風邪のひき始め
●アコナイト Acon.=「急の・突然の」症状に効果がある。
・原料のトリカブトの毒性は「急で激しい」症状をもたらします。そしてこれが生息している場所も高山で気候変動は「急で激しい」この植物の「あり方」がエネルギーの姿そのものです。
ご自分が「高山植物」になった気持ちになってみるとよく理解出来ると思います。
<発症イメージ>
・子供の場合=夜中に突然起きると症状がある。「恐怖感」があり高熱のことが多い。但し、この時、皮膚は乾いていてまだ汗はあまりかいていない段階。
・大人の場合=例えば、心筋梗塞・脳梗塞が起きた瞬間>「死ぬ」という感じが特徴。死亡時刻まで予言するほどの「恐怖感」がある。これだけで完治は出来なくても病院に行くまでの精神的なサポートをするだけでその後の病状に良い影響を与える。
・熱が出ている時は繰り返し投与も良い。汗が出始めたらストップ。発汗して回復することが多い。
<症状>
・さっきまで元気そうにしていたのに「突然」現れる症状に適する。
・身体の感覚は鋭い。光や音に過剰に反応。触られることを嫌がる。
・冷たい水を欲しがる。
・顔はまだ汗をかいていないので、白い感じ。
<原因>
冷たい風・冷房・隙間風(ゾクッとする感じ)・急な天候変化・日射病・昼夜の気温差などから
●ベラドンナ Bell.=「急で激しい症状」に適する。
・「ベラドンナ」とは貴婦人を意味する。昔、貴婦人達が瞳を開いて目を美しく見せるために利用。この植物の元々の作用は副交感神経システムに影響=動悸・末端神経・粘膜(扁桃腺炎・中耳炎など)に問題を起こす。
目が見開く!感じを覚えて下さい。このレメディのテーマは「拡張」です。「バランス失調状態」とも言えます。
<発症イメージ>
アコナイトと同様「突然」の発症。だがこの人が恐いのは「死」ではなく、この世のもの(内的イメージ=幻覚・お化けなど)が恐い。発症が分かった時は既に病状が進んでいる。高熱の場合が多く、汗をかき、熱で充血して顔が赤い。目も充血。
<症状>
・顔は熱で暑いが、手足は発汗で冷えている。
・熱のために頭痛がひどいことが多い。(ズキンズキンするような強い痛み)・首の動脈の脈動がわかる。
・瞳が開く。(熱の影響で)
・天使と悪魔=妄想状態で不安定な感じ。暴力をふるうことも。
★アコナイトとベラドンナのおおざっぱな見分け方
・顔の色(白・赤)
・通常、症状は Bell.の方が症状がより進行している。
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2.進行した風邪の症状が出た段階
●ゲルセミウム Gels.
・一般にインフルエンザ対策の代表的レメディ。
・気分=身体全体が「だるい(筋肉麻痺的)」。一人でいたい。
・頭痛=後頭部の痛み>次第に前に広がる>鉢巻きで締め付けられる痛み>眠気
・顔=赤黒い感じ。顔が大きすぎると感じる。
・偏頭痛と肩こり
・目=痛い。動かすと特に痛い。涙も出る。ボーと見える感じがする。
・まぶた=麻痺しているような感じ。垂れ下がる。
・冷たい汗、鼻水、乾いた咳
・胸に怪我をしたような痛み
・熱はあり排尿もあるが喉は渇かない。(反:Rhus-t.Bry.)
★「インフルエンザ」ではなくても「症状イメージ」が合えば効果は高い。
<この他のこのレメディの適応症状>
・不整脈=動かないといけない感じ。動かないと心臓が止まっているような・・
・抱いてほしい。
・食べ物=刺激物が欲しい。
・予防=「ポリオワクチン」の前に投与すると副作用対策になる。
レメディとしての症状像
=「虚弱」「試練をまえにして鈍くなる」特に心配や恐れを抱いてからのだるさ。
(関連)Arg-n.=試練の前で過敏になる
★風邪の症状の進み方としてレメディの流れは以下。「症状」変化に応じた投与が必要。
「Acon.アコナイト-->Bell.ベラドンナ-->Gels.ゲルセミウム」
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風邪的症状の際、でこのゲルセミウム以外に例えば「ルス・トクス」と「ブライオニア」がよく利用されるレメディである。
●ルス・トクス Rhus-t.=主に関節・筋肉・皮膚(節々)にくる風邪原料はつたうるし。皮膚、関節、粘膜(胃腸)に関係が深い。
「うるしかぶれ」状態をイメージして下さい。
・精神=ひどいいらつき。心身共にいつもじっとしていられない。痛くても動く。そして、動く(姿勢・体勢をたえず変えるなども)と改善する。
・リウマチ・関節痛・ギックリ腰に効果。
★但し、「症状イメージ」が合うかどうかが問題。あらゆることにおいてこれが大切!
同じリウマチでも、痛いと言いながらもよく動く場合はこれだが、痛いと言ってじっとしている場合はブライオニアの方が適する。「病名」ではなく「全体像」。
<適応症状>
・冷たい・湿気があると悪化。
・舌が白い。先だけ赤い。
・喉が渇く。しかし、冷たいものを飲むと悪化。(Bry.ブライオニアは飲むと好転)
・湿疹=痒くて痛い。熱い汚い。慢性湿疹に効果。
・捻挫、筋違いのNO.1レメディ。(類:Ruta.)
●ブライオニア Bry.=皮膚より内臓にくる風邪
原料はワイルド・ホップ。内臓(胃腸・脳・肺・肝臓など)に関係。
とても乾燥した土地で生育。古くから息切れ、咳、胸部去痰に使われた。
・精神=心身ともにとても乾いている。お金にこだわる。仕事の話ばかりする。
・一人でいたい。話しかけられるのは嫌。機嫌が悪い。
・頭が熱い。赤く腫れた感じ。
・唇が乾く。喉が渇く。頻繁に水を飲む。いくらでも飲みたがる。
・粘膜が全て乾く。乾いた結果としての咳。便秘。
・胸が痛い。
・痛い部分を下にして眠る。じっとしていると楽になる。動くと悪化。
・舌が濃い茶色。
レメディとしての症状像=「物質界に根付いている」安全・安心・保障を強く求める。
★ルス・トクスとブライオニアの見分け方(ゲルセミウム)
・じっとしているか?・・・動くと好転=Rhus-t.悪化=Bry.
・水を飲むとどうなるか? ・・・飲むと好転=Bry. 悪化=Rhus-t.
・Gels.はBry.とも似ているが、のどが渇かないのが特徴。
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3.風邪の終わりの「咳」に関係するレメディ
●ドロセラ Dros.もうせんこけ(食虫植物)
「咳の代表レメディ」
・咳の時、手で喉や胸を押さえる。呼吸困難。
・おでこを押さえられるような痛み。特に左。
・夜と朝に悪化。
・咳の発作があっても、発作後、子供は遊び続ける。
・よだれが出る。
・声が出ない。話すと疲れる。
・顔=右が熱くて左が冷たい。
・歩くと左にころびそう。
・精神=落ち着かない。人を信用しない。でも一人では恐い。特に夜、自殺しそう。特に溺れ死ぬような気がする。イライラする。話題を変える。
●アント・タルト Ant-t.吐酒石。
嘔吐剤として回虫駆除に使われた。子供に良いレメディ。
・力のない「コホコホ」した咳。細かな肺の音。
・座らないと息苦しい。眠ると呼吸出来ない。
・吐くと咳は楽になる。
・クシャミで腰痛になる。
・慢性腰痛。
・舌の色が真っ白。
・体力のない人。肺炎が回復しにくい人。
・精神=無感情・眠い・だるい。
●イペカ Ip.吐根
吐根。古くから気管の去痰に使われた。
・吐き気がする強い咳。「ゲホゲホ」イメージ。
・吐いても咳は止まらない。
・顔は赤い。舌の色も赤い。出る血も赤い(鮮血)。
・喉は渇かない。
・湿気で悪化。>機嫌が悪い。何かをして欲しがる。何もないが。
・下痢が水っぽい。尿があまり出ない。
・つわりの吐き気にも良い。
・精神=喜ばせるのは難しい。
★咳にはまずドラセラを考える。
次にアント・タルトかイペカを検討してみる。
(補足)この2つは元々のものは吐剤として使われていた。ところがレメディとしては咳・吐き気に対して効果がある。濃度の高い時、毒性があるが、薄めると逆に改善する効果が出るものは多い。それを「シュルツの逆転の法則」という。例えば硫黄(Sulph.)は濃いまま使うと皮膚がただれるが、薄くするとそれを癒すことが出きる。
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4.その他 急なひどい痛み(疝痛)
●マグ・フォス Mag-p.
「ホメオパシーのアスピリン」と呼ばれる。
・ひどい痛みには効果的。グッと押さえないと駄目なような痛み。急な痛み。
・痛みの種類は頭痛・生理痛・胆のう痛など(差し込むような痛み)
・生理痛では出血は真っ黒。お腹に触ると痛みがある。太股にまで痛みが広がる。
・精神=キレるタイプの人。下らないことで暴力を起こす。寂しがり。一度傷つくと復讐を考える。
●カモミラ Cham.
・急な痛み。
・甘いものが欲しい。
・大量の冷水が欲しい。便の色が薄い。(急性肝炎の症状に類似)
・精神=「もう我慢出来ない!」過剰なイラツキ。痛みに過敏。近づくのが嫌にな
る子供。
★子供のABCレメディ=Aアコナイト・Bベラドンナ・Cカモミラ。
・生理でひどく機嫌が悪い女性にも効果。
どちらを選ぶかは全体的なイメージから判断する。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<追記>
1.風邪の場合でも「根本体質レメディ」で解決することが多い。日常的に利用して理解を深めていくと次第に覚えられます。怖れずに使いましょう。
2.症状イメージに迷うときは3つ以上の特徴が該当する症状があれば可能性が高い。
急を要すると感じた時、どうしても駄目な場合は深追いせず、医師に掛かること。
(基礎講座4)以上
<NO.5 基礎講座5 神経・感情から起きる不調に適応するレメディ8つ:03/11/14>
レメディ数はそれなりの種類を学んで来ました。少し、復習しましょう。
1.「突然」の症状に処方するレメディは何でしょうか?
2.「怪我・事故」の時に、まず考えるレメディは何でしょうか?
3.「インフルエンザ的症状」の時の第一候補レメディは何でしょうか?
4.なかなか修まらない「咳(百日咳)」の第一候補レメディは何でしょうか?
5.根本体質レメディについて次のものは何でしょうか?
1)自信がないことを隠そうとして「傲慢」な態度をとる=
2)見捨てられることを恐れる=
3)エネルギー交流を求める=
4)ひとつのことに集中すると他のことは気にならない=
5)傷つきたくない、傷つかせたくない=
6)外に対して防御的で、内面的にはゆっくりと秩序を作り上げてゆく。マイペース=
今は覚えていなくても使ううちに次第に覚えられます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それでは今回「神経・感情の問題から身体的症状に出やすいレメディ8つ
まずまとめから
●胃腸系/神経質レメディ(=イライラ・気難しいレメディ=大抵)
1.Arg-n.アルグ・ニット(アージ・ニット)=神経が細すぎる(P.102)
2.Ars.アルセニカム=自己中心的キチキチレメディ(P.103)
3.Nux-v.ヌックス・ボミカ=野心に駆り立てられるイラチレメディ(P.124)
4.Chin.チャイナ=脱水(下痢)レメディ<生き返りのレメディ>(p.110)
5.Carb-v.カーボ・ベジ=ガス抜き・便秘レメディ<生き返りのレメディ>(p.109)
●感情系/特に女性に多く適するレメディ
6.Staph.スタフサグリア=無抵抗(屈辱・忍耐)のレメディ(p.131)
7.Ign.イグナチア=哀しみのレメディ(P.116)
8.Cham.カモミラ=「もう、がまん出来ない!」レメディ(p.110)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●胃腸系/神経質レメディ3つ
Q.胃腸の具合が悪くなりやすい人はどんなタイプがイメージされますか?
A.・・・
1.Arg-n.アルグ・ニット(アージ・ニット)
中心イメージ
・「神経が細すぎて何かが始まる」
・「心配をあれこれしてお腹にくる」
・「もしかしたら・・?」を考えすぎるタイプ。
原料の硝酸銀は鏡として使われる。「鏡」から何を連想しますか?( )
・外向的で明るいが「人前で」話をすることはできない。
・何をしても自信がない>(類似は? )
・広いところ・人ごみが苦手
・怖いことだらけ=高いところ、吊り橋、上司の前、将来、・・・・
・メンタル面は非常に弱いが感じること(想像力)は優れている=芸術家タイプ
・お腹が弱い。
・甘いもの好きだが食べると悪化。
・味の濃いものが好き。
・満月のときイライラする。(銀=月と関係、金=太陽と関係)
・痛みの質=とがったもので刺される感じ。
・試験前=そのことを考えただけで記憶力が落ちる。
・暑がり(類:Sulph.)
・飛行機には乗りたくない。
・何時に死ぬという予言。(類:Acon.=急にそうなる。)
・迷信事に振り回される。
・年より老けて見える。(類:Lyc.)
・約束の場所には時間よりかなり早く到着している。
2.Ars.アルセニカム
・別名「馬のレメディ」。馬に適度に飲ませると毛並みがつやつやして元気になる。
・急性症状=「食中毒」に適する。下痢+嘔吐+冷たく青白い顔(弱る)
・中心テーマ=「自己と非自己を峻別する」
・夜中の1時頃悪化する。(ぜんそくなど)
・落ち着かない
・ひんぱんに水を飲むがちびちび飲む。一度に飲めない。
・「不安」が中心にある。周りが敵だという感覚=馬の神経質さに類似
・人に厳しいが一人でいるのも嫌。(交流する必要はない)>反:Phos.
(例)交通事故のとき>Phos.とArs.の違い?( )
・自己中心的。
・欲が深い。
・身なりはきちんとしている
・言葉使いもきちんとしている。
・潔癖。キチキチしている。
・死が怖い。(類似は?: )
・病気は怖い。特にガン(死にむすびつく病気だから)★
・細かなことを気にする。けち。
・「不安」が強いので依頼心が強い。(反:Nux-v.)
・体が冷たく寒がりの人、熱さを強く渇望する事を伴う。
・焼ける様な痛み>熱。
・仲間を強く切望(恐怖から;Phos.は他人への同情から)。
★参考/怖いものによるレメディの差を見てみると・・)
「Calc.」=感染病と精神病が怖い。
「Phos.」=出血が怖い。すぐに病院に行って確かめて安心。
「Ars.」=病院に行っても不安は消えない。
「Lyc.」=痛み・苦しみを伴う病気が怖い。自分が勇気のないことがばれるから。
3.Nux-v.ヌックス・ボミカ
中心テーマ=「野心のレメディ」・内面的に強く駆り立てられている。
思うように出来ないと苛つく。
<この人の一日のイメージ(病理が少し進んだ例として)>
朝:機嫌が悪い。早朝に目覚めて気になる仕事のことを考えていた。
以来眠られず、そのまま朝を迎えた。
起床:体がだるいが仕事に行かないといけない。
仕事:イライラしている。タバコをよく吸ったり、コーヒーをよく飲んだりする。
夜:お酒を飲みにいかないといけない。胃腸の具合が悪い。(ゲップ・胸焼け)
翌朝:機嫌が悪い。仕事のことが気になりよく眠れなかった。
さて、仕事に行かないといけない。・・
----->こんなイメージです。こういう人は近くにいませんか?
・野心家。強く駆り立てられる;無駄に急き立てる;まるでまだ終っていない感じ
(仕事、排便、排尿)。
・潔癖。イライラして怒りっぽい。気むずかしい。暴力に結びつくことも。
・どちらかというと痩せ型で顔は黄色っぽい。胃腸・肝臓にトラブルが多い。
・楽しいと感じない。プレッシャーが多く、頑張らないといけない。
・締め付けられるような痛みがある。背中に響く。
・便秘。なかなか出ない。中で新聞を読んでいるタイプ。
・頑張るために刺激を求める(酒・タバコ・珈琲・異性)
・ワーカ・ホリックで競争心が強い。
・人には頼らない。(反:Ars.)
・ひどい寒がり。
・<早朝(リフレッシュしない、苛々する、意気消沈、痛み)
★ただ、病理の進んでいない健全なレベルでは彼(彼女)はとても有能なサラリーマンで上司からも信頼されるタイプである。人は「健全な状態」・「病理の状態」(それも進度により違う)
・「これらが混在した状態」といろんなレベルにあることに注意して下さい。
*女性のNux-v.もいる
・生理が早すぎる・間隔が短すぎる・量が多くて・色が濃い・生理痛
・だるい等など「駆り立てられている」イメージである。
4.Chin.チャイナ=脱水レメディ
・「生き返りのレメディ」脱水症状に効果
・ハーネマンが同種の法則を発見した記念碑的レメディ。
・中心テーマ=「ベストなものに到達したい」(精神的脱水感がある。)
・脱水症状の人(回復が遅れている)。出血のある手術後、下痢の続いている人。
・甘いものが好きだが、食べると悪化(類似は? )
・食欲がなく、少し食べると満腹。Nux-v.Lyc.Nat-m.にも似ているところがある。
・美的感覚に優れる。故にベストなものに惹かれる。
・ローポテンシーはマラリアの予防として効果。通常のキニーネは肝臓に強い副作用
・寒がり
・肝硬変
・肝臓、膵臓が同時に悪いとき
・周期的症状(マラリア的)
・腹部の過度の膨張(ガス);げっぷをしても好転しない。
・<些細なタッチ、>きつい圧迫。
・夕方や夜は、精神が明晰&豊富なアイディアや計画。
・五感が超過敏。
5.Carb-v.カーボ・ベジ 木炭
「生き返りのレメディ」=酸欠状態に効果。脱水状態=>Chin.を使う。
・新鮮な空気を渇望(換気したがる)。<暖かく湿った天気(蒸し暑い天気)。
・生に無関心・無頓着。青白い顔で生命力が低下している感じ。
・低い生命力、鈍さ、怠惰、冷え。
・欧州では昔からお腹の薬としても利用されている。ガス抜きや便秘に。
・胃腸の不調に使うと言う意味ではNux-v.にも似ている。Nux-v.で改善出来ないときにこれを使う。
・消耗性の病気、出血、長い間の授乳、など 以来よくならない。
*要注意=むやみにハイ・ポテンシーを与えてはならない。V・Fを使い切る怖れ。
<補足>
・手術の後、お腹にたまったガスが出ないときに。
・寝る前に悪化。
・身体を縛るものを嫌がる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
●特に女性に多く適するレメディ3つ
6.Staph.スタフサグリア
中心=「屈辱のレメディ」色んな感情を抑制しすぎて発症。
「気がついた時には、既に自分の中になにか入っている」
古風な日本女性タイプのイメージ。(一見、男らしい男性もいる)
・恥ずかしがり
・多くの不安を感じても出さずに内部にドンドンため込む。
・反対しない。ケンカしない。全てを受け入れる。
・人に迷惑をかけてはいけないといつも気を使っている。
・ロマンチスト。小さな親切にもとても喜ぶ。
・「マスターベーション」元々、性的には感受性が高いが、表現の仕方が分からず、抑制してゆく。(性的関係を拒否されることを怖れる)その抑制の結果の自己表現がマスターベーション。
・「硬い」
何か自分に対して行われる>あきらめて受け入れる>深くたまってゆく>心身共に「硬く」なってゆく>例えば「筋腫」などになって現れやすい。
・表現をするのは絵・音楽・詩など。
・肉嫌い。
・酒・タバコなど刺激物は欲しい。他人のタバコの煙は嫌悪。
・<午後の昼寝。
・触られる事に超過敏。
7.Ign.イグナチア
「哀しみのレメディ」「ため息のレメディ」「断絶のレメディ」などと表現される
怒り・哀しみ(失恋・急死)などショックからの発症。
・内面の葛藤;ロマンチックな理想主義が、現実と矛盾する。失望から発症。
・女性:男性=10〜15:1の割合。(Nat-m.の男女比は1:1)
・独立的。男性に負けない位の仕事が出来る。
・すべて「哀しみ」からスタート。「現実」を認められない。
・敏感。侮辱されると同じ方法で仕返しする。(反:Staph.)
・気分が変わりやすい。ヒステリック。理屈は通じない。
・のどに関する症状。「ため息」「のどの違和感」、「あくび」をよくする。
・静かに悲嘆し考え込む;感情が痙攣状態で出てくる:短いすすり泣き、ため息をつく、口の周辺がひきつる、頬の内側を噛む、ぐっと唾を飲み込む、喉の塊など…
・果物が嫌い。食べると悪化。
・予想しにくい態度。矛盾した、交替する状態。
・果物と煙草の匂いを著しく嫌悪する
(★「Nat-m.」との違いをまとめておくと良い。)
片思い>それに気づく>ショック!>現実を認められない>ヒステリー・ため息など>発症!・・の可能性
(★参考/哀しみに関係する典型的なレメディNat-m.との比較)
<Ign.> <Nat-m.>
・男女比率 女性が多い 男女比は同じくらい
・睡眠 眠れる 眠れない
・気分 情緒的 理知的(論理的)
・行動 予測できない 模範的行動
8.カモミラ Cham.=前回学びました。
・急な痛み。
・甘いものが欲しい。
・大量の冷水が欲しい。便の色が薄い。(急性肝炎の症状に類似)
・精神=「もう我慢出来ない!」過剰なイラツキ。痛みに過敏。近づくのが嫌になる子供
・生理でひどく機嫌が悪い女性にも効果。
(基礎講座5)以上
<NO.6 基礎講座6 特に女性に関係したレメディ6つ:03/12/10>
今回は新たに5つのレメディを学びます。これで合計「36個」になります。後は実践
あるのみです。
さて、その前に復習です。
1.胃腸にトラブルが起きやすい人に効果のあるレメディ候補は?
( )( )( )
2.失恋のレメディは?
( )
全体的まとめをします。
1.ホメオパシーと現代医学の基本的な違い
・現代医学=「症状(結果)」を抑制したり緩和することを治癒と考える。
・ホメオパシー=「その人」が健康になること。「類似の法則」により、誰もが持っているバイタルフォースを活性化し、自分の内的な力で健康を獲得してゆくこと。その”結果”として「症状」は消えて行く。
2.症状は悪いことではない。むしろありがたいこと。
それは「健康な人の健全な反応」であり、生きて行く(適応する)ための、やむを得ない「表現」でもある。
3.「症状」とは?
「治癒の始まりであり且つ表現」である。それを抑えつけると、外面的には良く見えても病気を奥に閉じこめて複雑で治りにくいものにしてしまう。
4.レメディの丸暗記はすぐには出来ませんし、意味がないのです。
まずレメディの「全体像/イメージ」を描きましょう。それを「その人」のイメージと重ね合わせて行く。そのイメージの類似性を見つけて行くのがホメオパシーですることです。
5.36のレメディを学んだ後は、一度何かをキーワードにしてレメディ同士の関係を関連づけてみるとレメディのイメージはハッキリしてきます。
例えば・・「暑がり・寒がりレメディは?」「水をよく飲むレメディは?」「自信のないレメディは?」「胃腸が悪くなりやすいレメディは?」「ケガのレメディは?」等など
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それでは今回「女性に特に関係したレメディ6つ」 *1つは重複。
まずまとめから
●生理関係レメディ2つ
1.Sep.セピア=停滞レメディ(p.130)
2.Lach.ラカシス=出口を探すレメディ(P.119)
*3.mag-p. マグ・フォス=ホメオパシーのアスピリン(p.121)
●女性に多い保守的レメディ3つ(男性にも多くいます)
4.Sil.シリカ=一見ソフト中身カチカチレメディ(P.130)
5.Merc.メルクリウス(マーキュリー)=「不安定」レメディ(p.121)
6.Kali-bi.ケイライ・ビック=地味な保守的レメディ
以上6つ(実質5つ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●生理(動物)関係レメディ2つ
生理面でのトラブルはまずPuls.Sep.Lach.(Nat-m.)の3つ(4つ)が候補レメディになります。
1. Sep.セピア=停滞レメディ(p.130)
・中心テーマ=「STASIS=あらゆるレベルの停滞」
・女性ホルモンは元々、ゆったりとして微妙なもの。わずかなことで止まりやすい。
・原料は「イカスミ」=イカのイメージと類似。
・好き嫌いがハッキリしている。特に家の中の人は嫌いで、外の人が好き。
・出産後、症状が出る。
・性的に無関心。家族にも無関心。
・ゆっくり動くと駄目。激しく動くと好転。(停滞から抜け出したい欲求)
・激しい運動で好転。音楽で好転。つまりダンスが好き。
・下半身が充血気味。浮腫む。下腹部の重い感じ。便秘。
・足を組むことが多い。これで安心するから。
・侮辱されると爆発する。ケンカする。
・あら探しする。気むずかしい。思うとおりにしたい。
・頑固
・満月で悪化。(類似は? )
・左側に問題が多い。(反対は? )
・慰められるのは嫌。(反対は? /類似は? )
・いわゆる更年期障害的な症状に効果。
[その他特徴]
・>仕事;激しく尽力する。 *>印は好転。<印は悪化を現す。
・酸っぱいものやチョコレートを渇望する。
・押し下げる様な感じ。
・<前、中、後、生理の。
2.Lach.ラカシス=出口を探すレメディ(P.119)
中心=「出口を探す過剰な刺激」「激しい」「熱い」
・原料は熱帯アメリカの毒蛇。毒性は激しい。血液・組織を破壊。
・ヘビのイメージに近いものがある。
・頭と口の回転が速い。おしゃべりで話題がコロコロ変わる人。
・症状がコロコロ変わりやすい。自律神経失調症的。
・首周りの圧迫を嫌う。スカーフ・ベルトは耐えられない。
・閉じこめられることには我慢できない。
・暑さに弱い。(類似は? )
・左側に多くの症状。または左から右へ。(反対は? )
・性欲が強い。逆にまったく興味がなく、厳格に古風な態度のときもある。
・火傷にも効果。
・思うとおりにしたい。(類似は? )
・いわゆる更年期障害的な症状。のぼせなど。
・人生を難しくする(回り道してして生きる)
<その他特徴>
・>分泌、特に生理。*>印は好転を現す。
・温血。紫色。
・嫉妬深い。疑い深い。
3.マグ・フォス Mag-p.P.121=既に学びました。
「ホメオパシーのアスピリン」と呼ばれる。
・ひどい痛みには効果的。グッと押さえないと駄目なような痛み。急な痛み。
・人より痛みをより感じやすいタイプの人。
・痛みの種類は頭痛・生理痛・胆のう痛など(差し込むような痛み)
・生理痛では出血は真っ黒。お腹に触ると痛みがある。太股にまで痛みが広がる。
・精神=キレるタイプの人。下らないことで暴力を起こす。寂しがり。一度傷つくと復讐を考える。
●保守的レメディ3つ
4. Sil.シリカ=一見ソフト中身カチカチレメディ(P.130)
セルフケア的にはトゲなど「異物を体内から出すレメディ」
・原料は二酸化珪素(水晶など)。>普通使われているもの=ガラス ・シリコン・ 固い・曲がらない・乾いている・粉々になるもろい物質。
中心=「自信がない。表面的には従順だがが内的に固い。」「頑固」「依存的」
・粘膜は乾いている。皮膚も。
・精神的には、感情表現がとぼしい。自発性がない。流れに任せる。決断力・勇気がない。弱い。
・寒がり。とても喉が渇く
・炎症を起こしやすい。長引く。治りにくい。痕が残りやすい。
・精神エネルギーが低い。
・すぐ疲れる。諦める。
・家を出たくない。出てもすぐに帰りたい。
・生理はしばしば止まる。
・ケンカは割れるように爆発するようにしてしまう。
・冬に悪化。乾燥しやすいから。
・歯や骨の問題が起きやすい。
<その他の特徴>
・認めてもらう事を必要とする;職業(特定のイメージ)に専念する。家では偏狭。
・簡単に発汗する;過去に足の汗を抑制していた。
・再発性の感染症;化膿しやすい。
5. Merc.メルクリウス(マーキュリー)=「不安定」レメディ(p.121)
・原料=水銀--->金属だが常温では液体。
・温度計に使われている。つまり外の影響に敏感。
・水銀中毒=口内・食道・胃にかけて腫れ、歯ぐきはスポンジ化。よだれ・悪臭・化膿
・セルフケア的には「口内炎や歯茎の炎症のレメディ」
・中心=「不安定」「過敏」「影響を受けすぎる」
自分が不安定故に周辺に安定を求める。自分の分をわきまえなさいなどと言う。
しかし、周辺が変わらないときには我慢ならず、破壊的・攻撃的になる。
・病的に几帳面なところがある。
・急性的炎症・化膿に効果。
・一人でいたい。せっかち。暴力的。
・体臭が強い。特に足の汗。
(参考)ハーネマン 「Sulph.=男性性」 「Merc.=女性性」 と表現した。
<その他の特徴>
・<夜。
・腺の病気。
・<右側を下にして横になる。
6. Kali-bi.ケイライ・ビック=保守的レメディ
・原料=重クロム酸カリウム
・SM的には蓄膿症、鼻の炎症。副鼻腔炎。
・多くのKali化合物のレメディがある。これらのレメディはKaliの性質に影響される。
「Kali」的性質とは?・・
・保守的、現実的(地に足がついている)
・自分の知っている範囲で生活したい。
・白黒ハッキリさせたがる。(良いと悪い、好きと嫌い)
・キチンとした生活を望む。出来ないと不調。
・ルールを守る。トラブルを避ける。
・狭い範囲で同じパターンの生活に満足する。
・細かい事にこだわる。しばしば度を越した官僚主義者になる。
「bic」的とは・・
クロムメッキ的。ピカピカに磨きたがる。
化合物としての全体・・
・痛みは急に出て、急に去る。
・とても狭い範囲の痛みや炎症。くしで刺すような感じ。狭い丸状態の痛みなど。
・粘った濃い鼻水。
・ビール好き。肉嫌い。(慢性胃炎状態に似ている)
・冷たい水はチビチビとしか飲めない。
(類似は? /多くの水を飲みたがるのは? )
・家を必要以上にピカピカに磨く人。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<レメディを見分けるポイント>
1.「その人」をどう捉えるかについて
・精神的な状態を掴むことは難しい。元々、捉えにくいものであり、本人も気づいていな いことも多い。
・従って、一般に「身体的症状を診ることから始めて全体像を捉える」方が分かりやすい 。しかし、ただ「身体的症状」だけを見ていては決してレメディは分からない。
●具体的にどうするか?
1)その肉体的症状の「質」を掴むこと。例えば痛みでは・・
・「いつ(時間・季節性など)」痛みが出るのか?
・「どんな痛み(場所や周期性や移動性など)」のものなのか?
2)基本体質の「暑がりか寒がりか?」「喉が渇くかどうか?」「何時頃調子が悪い
のか?」等やポラリティ=好転・悪化要因・・などの確認はレメディ選定に大きなヒントになります。
2.レメディ投与の後のこと(慢性病の場合/セルフケア範囲外だが)
・急性のものは結果が早く出やすい(数時間以内)が、慢性のものはなかなか変化が出てこないことがある。我慢して待つことが大切。最低2週間は様子を見る。変化が出るのに1−2ヶ月かかることもある。
3.2回目の問診(これもセルフケア範囲外だが)
これが一番難しい。結局、見極めるコツは「へリングの法則」に沿っているかどうか?が判断基準。もう一つ、「良くなる時」は本人は気づきにくいものだと知っておくこと。
4.珈琲・強い香りの問題など
・過剰に考え過ぎることはないが、レメディ投与後は出来るだけ飲まないようにする。「依存症」になっていないか注意。珈琲に限らず、いかなることもそれがなくてはならない身体の状態というのは本来の健康状態からずれてきていると考えられるから要注意。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
基礎講座6 以上
<NO.7 基礎講座7「補講1 ケースを受け取る」:04/05/14>
前回までに主要レメディは一通り学びました。
ホメオパシーとは
「症状を手がかりにしながら」・・・「今の」「その人の全体像」と「レメディの全体像」を見比べて「類似性」を探ることが最も中心的なことでした。
さて、レメディは理解できたとします。レメディは時間をかければ必ず記憶出来ます。実践することでイメージを次第に自分のものにして下さい。
つまりホメオパシーでは「その人の全体像」をどう掴むのかが一番大きな課題になります。
結論から言えば、その人を捉えるには「ありのままを見ること」です。
今回補講は「その人」をどう捉えるか?がテーマです。
これはセルフケアの範囲を越えて、専門処方の範囲に入りますが、今後、皆さんがご家庭などで、レメディを選択していく際の参考になるはずです。そういうことをご理解の上で学んで頂ければと考えています。
では簡単なケースから考えましょう。
−−−−−−−−−−−−−−−−−
「まずケース1 子供のケース」(当ケースはよくある実例を元にアレンジしたものです)
幼児のお母さんから電話で相談を受けた。
子供が1.5Mの高さから硬いタタキに落ちて頭を打った。
病院に連れてきているが・・・・今、意識がない。お母さんはうろたえて電話をしてきています。内容を聞き出すとこういうことでした。
・最初気持ち悪いようで吐き気がすると言っていた。
・診察に時間がかかると言われている。今してあげられることはないか?
さて、あなたはどのレメディを選びますか?
「考えられるレメディは?= 」
選択理由=
・
・
選定のポイント
1.色々試すことは不可能。この場合まず1つ目を正しく選べるかどうかが問題。
2.「何が起こってその状態になっているか?」を考えて下さい。
結果=?
−−−−−−−−−−−−−−−−
●「人を見るとは自分を見ること」
・仮にある女性があなたに会いに来たと仮定します。
その前日、あなたは自宅でお姑さんとケンカをしました。夫は自分の味方になってくれませんでした。そういう気持ちの時にある女性があなたに相談にやって来ました。
その人は「お姑さん」のことで悩んで、最近体調が悪くなっていると話し始めました。
Q.さて、あなたは彼女を「ありのままに見る」ことが出きるでしょうか?
・では逆にそういうことがあってはいけないと強く自分に言い聞かせて、極めてクールに自分の感情をできる限り殺して対処しようとしました。
Q.さて、あなたは患者さんを「ありのままに見る」ことが出きるでしょうか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
どちらも「ありのままを見ること」は出来ないのです。それは何故でしょうか?
前者では共鳴が強すぎて、自分の内面の混乱?に反応してしまいます。そこには自分にとって都合のいいことかどうかをいつもどこかで判断している自分がいる。
後者では共鳴しないようにという「怖れ」の気持ちが異常に強くなります。この「怖れ」も自分の都合からでてきたものです。
つまり「人を見ることは自分を見ることでもあるのです。」
では「ありのままを見る」ためにはどうしたらいいのでしょうか?
理解を促すために少し極端な例を出してみましょう・・
20世紀最大の殺人鬼と言われるヒトラーは本当に悪人だったのでしょうか?
・彼は貧しい家庭に生まれ、美術を志す真面目な青年でした。
・第1次世界大戦は植民地の奪い合いから国どうしの争いが始まりました。
・そして、ドイツは戦いに敗れました。
・戦勝国はドイツに過酷な賠償金を課しました。
・ドイツは経済的に超インフレで破綻状態に陥り、多くの国民が苦しみました。
その中で、収賄事件が起こり国民の貧困とは逆に一部の人間が豪奢な生活をしていることが社会問題になりました。その代表が銀行関係でした。
そして、当時の銀行はユダヤ資本の比重が多かったのです。(今でもそうですが)
・貧困と共に国民感情として戦勝国への怒りが沸き上がっていました。
ヒトラーはある社会運動に参加して投獄されました。彼が獄中で書いたのが「わが闘争」です。
・やがて、貧困の中で何故戦争に負けたくらいでこのような苦しみに会わなければならないのか?という不満が国民全体に充満してゆきました。
「フランスなども同じことをしていたではないか!
戦争に勝ちさせすれば、報われるのだ!」
・・・と多くのドイツ国民が思いました。
このような考えや思いは極く特定の個人にだけ出てくるものでしょうか?
みなの思いを適切に代弁したのがヒトラーだったということです。到底彼は無実だったとは言えませんが、彼は当時の人として誰でも考えることをしたとも言えます。生きるためにした彼なりの適応方法だったと言ってもいいかも知れません。
我々が同じ立場に立ったとき、彼と違う選択が出来たと言えるでしょうか?
いかなる人がしたことにも必ず理由(わけ)があります。例えそれが殺人鬼と言われる人でも。人が人を理解出きるのはそこに共通の心の動きがあるからです。それがなければ人を理解することは出来ません。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
つまり、
「いかなる人の心の中にも自分の心の中にないものはない」
・・・といえるのです。
従って、「ありのままに見る」ためには(基本的には)
1.まず、出来るだけ今自分がとらわれている状態から脱することが前提です。
2.最初、その人のエネルギーを感じて下さい。
3.対話の中でその人の中にあるものと自分の中に同じものがあることを確認します。
・・・普通はあります。
4.一番の問題はそのことを「自分の基準」で推測・判断してはいけません。
5.それをつかんでから「その人」がそれに対してどう適応をしようとしているのか?=「その人の基準」---> ここに「本当のその人」が見えてきます。
6.ここで始めて「その人」とレメディのイメージと付き合わせることが出きるようになります。
目指す方向は・・・
「NON JUDGEMENTAL WARMTH」=人を裁かない、且つ暖かみのある態度です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<ケース2> 8才女の子の不登校(あるホメオパスの実例から)
お母さんからの相談です。本人も同行。
第一印象=おかっぱ頭で、ぽっちゃりタイプの子。のんびりした感じ。
お母さんの話。
・学校に行きたがらない。自閉症ではないかと思うことがある。
・細かなことをするのが好き。やろうとしたことは最後までやり遂げる。
・友人が出来にくいので将来は職人にさせようと思う。
・症状=アトピーが出る。
・心配なことは対人関係と肥満。それに好きなことはマニアックで、素早くてきぱき出来るがその他のことをするときはいつものろくて困っている。
・好きな食べ物=朝から脂っこいものでも食べる。全体にこってりしたもの好き。パスタ。トンカツ。パン。卵。
・嫌いな食べ物=牛乳が駄目。
「さてあなたが選定したレメディは?= 」
「その理由は?
」
このケースの答えは=?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
<ケース3>74才おばあさんの足の腫れ(ホメオパスの実例から)
入院中。右膝の下が象の足のように腫れあがっている。点滴。手術が必要かも知れないと言われている。
・1ヶ月前にそこがかぶれて掻いたら赤くなった。
・1週間ほど前に腕を毛虫に噛まれた。そうしたらまた足がかゆくなった。
・調子が悪くなったので風邪と思い。市販の風邪薬を飲んでいたが改善せず、次第に足が腫れてきた。
・身長153CM 体重60KG 中肉中背。
・日に焼けた顔。
・ご主人が脳卒中で入院中で世話をしていたところ。
・しっかりしている。計算ごとも正確で何でも自分で出きる。
・世話好き
・いつもやる気満々。だがいつもバタバタして雑な感じ。
・服装はざっくばらんでとてもラフな感じ。
・水をよく飲む。そしてよく下痢をする。
・暑がりで汗かき。
・食べ物は薄味が好き。好き嫌いは激しい。
・皮膚に多くのトラブルがある。
・身体は丈夫で病気はあまりしたことはないが、ケガをよくする。
(10年毎くらいに大きなケガ)
「さてあなたはどのレメディを選定しますか? 」
「それを選んだ理由は?
・
・
・
」
ケースはいずれも当てることが問題ではありません。レメディもひとつだけとは限りません。どこに類似点を感じて選んだかが重要です。類似点があれば必ず、何らかの変化は起こります。そして、「その人」が正確に捉えられればその類似性はよりよく、より簡単に見つけることが出来ます。
このケースの答えは・・?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ホメオパシーは「目に見えないものを扱う科学」とも言えます。
従って、自分なりの「見えないものについてのとらえ方」をしっかりしておく必要があります。
肉体と心と魂の問題。例えば、シュタイナー的に言うエーテル体、アストル体、「自我」という概念やキリスト教哲学・仏教哲学・イスラム教哲学などをある程度知っておくことも理解に役立つと思います。ホメオパシーは科学であり、宗教ではありませんが、肉体と心と魂の問題はこれらの3大宗教でも非常によく考え抜かれているからです。
尚、僕は個人的に「野口整体」の創始者・野口晴哉(はるちか)氏の整体に関する考え方はホメオパシーの人間の捕らえ方とほとんど同じだと考えています。野口氏の書いた本はちくま文庫から数冊出ていますので、参考にされることをお奨め致します。
基礎講座レベルを想定していますので説明しませんが、「人の存在のありかた」について勉強しておくことは自分をより良く知ることになります。これは難しいことかも知れませんが、本来誰にでも必要なことです。
こうした考えを深めたり、日常での実践を通して自分を深め、高めてゆくことは必ず、「ありのままを見る」ことにつながってゆきます。
補講1・以上
<NO.8 基礎講座8「補講2:家庭の問題」:04/05/29>
さて、今日の本論です。「家庭の問題」です。
これは実に様々な問題があります。「親子・嫁姑・夫婦」など、人と人とが共に暮らす限り常にトラブルは起こります。家庭の問題で一番厄介なのは、自分自身もまた、その一員であるということです。
ホメオパシー的に考えると家族と自分には既に「エネルギー交流」がそこで行われている。そういう場合は、レメディを選択する以前の問題から考えてみる必要があります。
この微妙な問題を言葉で説明したり理解することは本来出来ません。ひとつの方便として以下トライしてみようと思います。
−−−−−−−−−−−−−−
さて、質問です。
Q1.人間は動物に比べて上ですか?下ですか?あるいは同じですか? また植物や鉱物と比べてどうでしょうか?
( )
さて、これを考えるにあたり、
人の「こころ」の構造をここで仮に言葉で例えるとしたら・・・
「こころ=精神+感情(情念)」と言えます。
通常、私達は成長して大人になると独立してできるだけ自由に生きています。あるいはそうしようと努力します。
その時、理想的な生き方のイメージは何よりも
「生き生き」として、そして、「独立して」「自由な」姿・・ではないでしょうか?
実はその時のこころの中身は「感情(情念)」よりも「精神」が大きく占めている状態と言って良いと思います。 ☆精神>感情(情念)
では、もう一つ質問です。
Q2.みなさんは『生き生き』」として生きるためには何が必要だと思いますか?
( )
「生き生き/Active」している時は自分の中心がしっかりあり、安定した感じがあると思います。いわば・・・
☆「自分=主 外部=従」 とこういう形になっています。
ところが
実際の生活の中では、私達はしょっちゅう「誰かに腹を立て」、あるいは「友人や同僚に嫉妬したり」、「愛する家族に不満を持ったり」、「今より良い家や車やTVなどを欲しがったり」します。これはどういう状態かというと、こころの中身が「感情(情念)」に大きく占められた状態です。
この時、自分の中心はどうなっているでしょうか?少しフワフワしている感じです。
「生き生き」していたときとはまったく逆に
★「自分=従 外部=主」
こういう形になっているのがお分かりでしょうか。
この感情(情念/Passion)というものは「何か外部のもの(モノや人)」に対しての「受動的な/Passive」反応をこころの中で起こしています。
例えば「自発的に怒っている」のではなくて「何かに怒っている。即ち、何かによって怒らされている」状態と言えます。そして大抵はこの感情(情念)は抑制が利かず、こころの中で膨れ上がってゆき、やがてこころ全体を支配してゆきます。そこではもはや「精神」の存在は希薄で、場合によっては自己コントロールを失います。この時、人はもしかすると動物以下かも知れません。
「生き生きとして、独立して、自由である」理想的な姿からかけ離れています。
こうして考えると人が人らしくあるためには、「精神」というものが何より大切であることがお分かり頂けると思います。
では「精神」とは何か? 皆さんそれぞれにお考え下さい。
多分、それは人が人らしくあるためのものでしょう。仮に言葉に例えるとしたなら、「愛・気力・意志・信念・理想」などがそれに相応しいものであると思います。
それはともかく、
ここでは、こころが「感情(情念)」に支配されないことの大切さについてご理解頂きたいと思います。外部のものによって自分のこころ全体が支配されてしまう状態のことです。これが家族におけるトラブルの元凶になるのです。
さてここで、「ホメオパシーとは何か?」の基本に立ち返ります。
ギリシャの世界的ホメオパスのジョージ・ビソウカスは健康についてこう定義しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★「健康とは自由である。したいことをし、なりたいものになる自由である。」
それはもちろん「エゴ(身勝手)」とは違う次元の自由です。
「例えば・・
・肉体レベルでは苦痛からの自由である。
・感情レベルでは激情や欲望からの自由である。
・精神レベルではエゴからの自由である。」
ホメオパシーが目指す「健康」とはこういう「自由」のことです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
☆もし、家庭の問題が起こったとしたら、まずこの「自由」について考えて下さい。
おそらく自分(又は家族)の中に自由ではない何か(スタック/Stuck=流れないもの・自分を閉じこめている何か)があると思われます。それが問題となっていることが多いと思います。
家族とは言え、むしろ、家族であるが故に(人間関係が日常的且つ濃密である故に)このスタックはなかなか取り除くことは出来ないのです。そこでは既に家庭内のエネルギーの交流に自分も巻き込まれているからです。
ここはまず、家族を変えるのではなく自分のスタックを取り除くことが大切です。それだけで問題が解決することがしばしばあります。何故なら自分が変わることで家庭内にこれまでとは違う「新しいエネルギーの交流」が起きてくるからです。
試して見て下さい。ただ、自分が気づくためには適切なレメディが必要かも知れません。もし、良い結果が出れば皆さんは昔から言われているこのことに気づかれると思います。
★「他人は自分の鏡である。そして家族は自分の鏡である。」
私達はよく問題を人のせいにしてこういう言葉を使います。
「あの人が○○だから駄目なんだ、うまくいかない。」・・などと
これは自分を正当化してこころのバランスをとっているわけです。そうすると自分の気分は楽になるからです。
でも
こういう態度は、「あの人」が「主」であると思っている。その時自分は「従」となり、それでこころは受動的な感情(情念)に支配されやすくなる。ここに感情面での不自由が起きてきてしまいます。
もう一度補講1を思い出して下さい。「もし自分がヒトラーだったらどうしたか?」
その対応は皆さんすべて違いました。何故なら自分が生き延びようとする「適応」の仕方は人それぞれ違うからです。そして、その違いこそが「その人らしさ」というものです。でも同時に「その人らしさ」こそが必要以上の恐れや過敏な反応をもたらし、人が病気になりやすい状態を作ることにもなるのです。
(実は自由度の高さ[本当の自由ではなく]こそ人が病気になる元でもあるのですが、基礎講座の範囲を超えますので、ここでは触れません。)
最終的に、皆さんはたいていの問題の核心は外部ではなく自分自身の内的な不自由(スタック)にあることに、気づくことになると思います。家庭の問題はそれだけで、とても良い結果をもたらしてくれると思います。
さて、最初の質問「人間は動物などより上か?」の答えはもうお分かりですね。
「本当の意味での自由度の高さを『上』と表現するなら、人は動物よりも上です。そして動物>植物>鉱物・・と自由度は下がっていきます。
ここで「言葉」を使ってご説明した内容は適切であったかどうかは分かりませんが、皆さんが家庭の問題を考えるヒントになったとは思います。
補講2以上
■コメント■
人の心の構造については色んな考え方があるでしょう。理解を促すためにここであげたこと以外にもうひとつ付け加えて、コメントしておきたいと思います。
「あなたの本性(中心)は何か?」と質問されたらどうお答えになるでしょうか?
一番先に思い当たるのは「自分の身体」ですが、それは決して本性とは言えません。
では「自分の心」なのかと言われれば、それさえも決して「人間の本性」とは言いかねるところがあります。
簡単に表現するとすれば、それは”身体とこころをまとめ上げている何か”であると言えるでしょう。それが東洋医学的に言うと「氣」ということになり、ホメオパシーでは「バイタル・フォース」と呼びます。ケント博士はこれを「意思と理解」と表現しました。これこそ人が生きる原動力です。
すなわち、「人間の本性」は、身体が感じる痛み・痒み・辛い症状等とも別なところにあり、心が感じる悲しみ・苦しみ・怒り・嫉妬・悩み・エゴ等とも別なところにあります。通常の心理学などでは恐らく「心=自分の中心」という捉え方をしていて、分からない部分を「潜在意識・無意識」などと表現していますが、本来的にこれは「心」とは別に考えた方が理解しやすいと僕は感じてきました。これは本で読んだことが元になっていますが、自分が病気を乗り越える過程で実体験したことです。
つまり、身体も心も自分の本当の姿ではなく、身にまとっている服と同じことになります。それに僕らはいつも翻弄されている。その場所から自分を離すことが、自分の問題を明確にする一番の方法です。
こういうことは具体的な方法論が必要だと思います。ひとつの方法をご紹介しようと思います。
僕の知人のヒーラーがこういうことを提唱しています。それはある意味の瞑想法です。
例えば、自分の中に怒りの感情が出てきたら「あの野郎!」ではなくて、ただ「怒り」という名詞に置き換える。悲しみの感情が出てきたら、「ああ、悲しい。自分は何て不幸なの!」ではなくて、ただ「悲しみ」と置き換えるのです。有効な方法としてお試し下さい。
方法論は別にして、この”心の構造”の見方・考え方は結構応用範囲が広く、僕自身が病をいかに受け入れるかということにも助けられました。
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