ホメオパシーのことを考える前に

「Let't Study Homeopathy!」はこの数年間僕が学んだことを土台に初心者の方に講義させて頂いた内容のレジメを公開したり、ハーネマンアカデミー大阪で学ぶ仲間とともに始めた関西でのホメオパシーの勉強会を公開してゆく「関西地区オープン講座」です。

僕自身、現代医学に命を助けられています。ですから現代医学を否定するつもりはありません。しかし、僕らが信じ込んで来た医学の常識って、真実なんでしょうか?

薬は効果がある以上副作用は避けられない。それは患者が我慢するべきことである。

難病等はいかに受け入れるかが大切であり、患者は医学の限界を認める必要がある。

予防接種をしないと子供は大変な病気になる。もし罹患したら周りの皆に迷惑が掛かる

慢性病は生活習慣からのもので、本人がそれを変えない限り治らない。・・等など


これらのことが真実かどうか確かめた方はおられるのでしょうか? 僕は自分の病気の経験から、これらはいずれも病に苦しむ方のことを考えての上のものではないと感じてきました。
ただ、僕はホメオパシーが万能だとも思いません。場合によっては現代医学の方が良いこともあるでしょう。また、ホメオパシーを本当に理解して実践している方も多くはないと思っています。

ホメオパシーの将来はまだ混沌としています。世間で評価されるのはずっと先のことになるかも知れません。しかし、これまで世界中のホメオパス達が苦労して来たように、僕も自分がこの世とお別れするまでは関西の地で多少なりとも種を蒔き同じ思いを抱く方と大切に育てられたらと願っています。
HPの副題の「関西ホメオパシー勉強会」はそういう気持ちでつけました。

尚、このサイトを始めるに際し僕をホメオパシーの世界に誘って頂いたルーマニア人医師:ミハエラ・シェルブレア先生と、僕に学びと啓蒙の場を与えて頂いたハーネマンアカデミー学長:永松昌泰先生にはこころから感謝したいと思います。

ご意見をお待ちしております。いつでもメールして下さい。
MAIL


<問題提起>

僕はまず、ホメオパシーについてほとんど知らない方のための入門篇から始めようと思います。

ホメオパシーにたどり着く前に僕は病院医療というものに一度絶望しています。僕の命を取り留めて頂いたのは他でもない現代医学の救急病院におけるものでしたが、そこで行われている素晴らしいこととそれ以降に経験したこととのあまりの落差に僕は愕然としたのです。

一番のショックは今の医療には病気を根治させるという発想がないことです。そして、それ以上のことは決して考えようとしない医療関係者が想像以上に多いこと。同時にそれに歯向かうことも出来ず、それに対抗する気力も知識もない僕のような患者達が五万といるのにも関わらず、この状態が放置されたままであるという事実です。

最初、僕は医療ジャーナリストとして、この問題に関わろうと考えました。でも、それをしている方は既におられるし、言葉だけでは無力感ばかり感じてしまうことに気づきました。どうもそれは僕には似合わない。

僕は民間療法というものを随分多く体験しました。その中で言葉より「術(すべ)」が大切だという実感を得た僕は何か自分に出来ることはないか?と思いました。そんなことを考えている時期に偶然にもホメオパシーとの出会いがありました。疑い深い僕は経験したことしか信じません。ホメオパシーに確かなものを感じ、まもなくホメオパシーの門を叩きました。

ホメオパシーの父ハーネマン医師は著書「オルガノンOrganon」で次のように言っています。
『医師は病を診るのではなく、病気の人を診ないといけない』
『本当の治癒とは・・・
1.治癒とは健康の回復であり、単なる症状の除去ではない。
2.健康の回復は「迅速に、穏やかに、永久的に」なされなければならない。
3.容易で知的な基本原則に則るものでなければならない』

恐らく病気に苦しみ悩んで来た方が読まれたら、200年前の医師がこう言ったのに何故今も尚、まったくこれとはかけ離れた医療しか自分たちは受けることが出来ないのだろうか?と感じるに違いないと思います。

僕は彼が言った言葉が”真実”かどうか確かめたくて、学校に入り学び始めました。

それから数年経った今、意外に早くこのホメオパシーを人に伝える立場にいます。自分の未熟は承知しつつも何も言わずにはおられないのが僕の性分なものですから、毎日のように初めて出会った方を前にホメオパシーについて語っています。 どうせ語るなら、世界に向けて語る方が良いのではないかと思いこのサイトを創りはじめたわけです。

この入門篇やセルフケアの内容は初心者のために作っていますが言葉だけではお伝えしきれないでしょう。出来ることなら勉強しに来て下さい。

Let's Study Homeopathy!



<入門講座 超初心者のためのホメオパシー入門 」:04/05/05>

「ホメオパシーとは何か」(ホメオパシーについてほとんど知らない方のための入門篇)

「ホメオパシーとは何か」を理解して頂くには、まず、これまで私たちが常識として受けてきた医療のことを、まずは忘れることから始める必要があります。
つまり何かの症状があったときに、それを消そうとしたり、どこかに押し込めようとする医療のことです。これは人類始まって以来の病気への対処法ですが、この考えからでは本当の健康を手に入れることは出来ないのです。
これからご説明するには、現代医学(病院医療)と比較しながら進めた方が分かりやすいと思いますので、適宜、比較のまとめをしながら、進めて行きたいと思います。


まず、皆さんに考えて頂きたいのは、「健康」と「病気」の違いについてです。

「健康」って何でしょうか? そして「病気」って何でしょうか? そして「症状」って一体何でしょうか?
これを頭の隅に置いて頂きながら、本論に入りたいと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1.基本の基本

●HOMEOPATHY(類似療法)
=HOMEO(同じ・類似)+PATHY(痛み・苦しみ・病気)(造語)
反対語:ALLOPATHY(異種療法:現代西洋医学)

●HOMEOPATHYの意味

「似たものが似たものを治す」
「同じ苦しみを持つものが同じ苦しみをもつものを治す」
「健康な人に投与したときある症状を起こすことが出来るものを、その症状の患者に投与 すると治癒してゆく」
・・・理解できますでしょうか?

●原理の発見=ハーネマン/ホメオパシーの父(200年前のドイツ人医師)

当時一流の医師が書いた薬効書の中のマラリアの特効薬として当時重宝された薬・・・
「キナChina」の薬効説明に疑問。(彼は医師を辞め、翻訳の仕事をしていた)

権威の言葉では「キナは苦いから効くのだ」と記述してあった。そんなあほな???

●そこで、彼は”健康な身体”の自分が飲んでみた--->発見!

健康であったハーネマンがキナを飲むと、マラリヤに似た病状(発熱・発汗・下痢など)が出てやがておさまっていった。もう一度飲むとまたもや同じことが起きた。何度繰り返しても同じ事が起きた。一説によれば彼はこれを7回も繰り返したそうである。何と言う疑い深さか!

彼は、徹底した実証主義者なので、自分の周りの人間にも同じことをさせたり、他の特効薬も、100種程度も徹底して調べ上げた。するといずれにも同じことが起こることを立証できた。

●元々かなり昔から発想はあった。=
・エジプト時代>ギリシャの医聖ヒポクラテス(医学の祖・ホメオパシーの祖)も同じことを言って、実際に治療をしていた。『人の病気を治す方法は”似たもの”によるか”逆のもの”によるかのいずれかである』と彼は言った。

・化学者(錬金術師)パラケルスス=「特徴表示説」/神が特徴を刻み込んでいる。

「EYEBRIGHT」など..(色・形・模様は神様からの人へのお知らせ)

>これらを参考に「ハーネマン」が医学として体系化した。

・日本でも「おばあちゃんの知恵袋」=「喉が痛いときのしょうが汁」等昔からの伝承として日常的に使われて来ている。つまり我々は知らず知らずホメオパシーを実践して来たのである。

●欧州での浸透=
・ナポレオンのイタリア遠征でチフス流行>ホメオパシーでは死人なし。正統医学では3分の1が死亡。>フランスで評判!(今も盛ん)
・イギリスでコレラの死亡率:ホメオパシー16%。正統53%。

●挫折・停滞=
・アメリカ=1900年代、ホメオパシーを講座に持つ医科大学が40−50%。
 その比率が1930年代には「0」になる。
・米国医師会の台頭。
・細菌の発見。(パスツール・北里柴三郎等)>原因は「外」にある!
・2つの世界大戦で、傷病者に対する「抗生物質」「手術」の即効性・発展に圧倒された

●近年=復活の兆し
・現代医学は緊急医療と一部感染症には卓効があるが、比率が増え始めた「慢性病」には 効果がない。また抗生物質の過剰使用から「耐性菌」がでて以来これまでの方法では限 界がある。・・と専門家も考えるようになってきた。
・特にこれまでの理論重視から「臨床効果をより重視」すべきという人が増えた。EBM(臨床効果の検証)重視へ。


●盛んな国
世界中。欧州・インド・南米・オーストラリア。
英国では王室が保護(パトロン)。王立病院が5つある。独仏でも多くのファーマシーで「新薬」「ホメオパシー」の2つの薬が揃っている。これまで衰退していた米国でも次第に見直しが始まって来ている。


2.ホメオパシーの主な特徴(まとめ)

1)通常の「薬物(新薬)」のような副作用がない。

2)元の原料はすべて「自然界(動物・植物・鉱物)」からのものである。

3)「病気」に処方するのではなく 「その人(全体)」に処方する。

*全体=からだ+こころ+いのち(生命力)


3.基本原理

●「その人」が元々持っている「VITAL・FORCE(以後V・F):生命エネルギー」の力を発揮させること。従って薬物治療のような副作用が起きない。(自然治癒力の発現を促す療法=考え方は漢方や鍼灸などに似ている)

●「V・Fとは何か?」
いわば、「生」と「死」の間にあるもの。
(目に見えないから科学として認めにくい。でも確かにあるもの)

「生=秩序と再生の連続」×「死=腐敗と分解へ変化」

*一方では人それぞれに生死の連続が常にある。=新陳代謝

●「症状」とは元々”治癒の現れ(始まり)”>それを手助けするのが本当の治療。

その手助けのためには「自然界にある類似したものの持つエネルギー」が力を発揮する。症状を抑制してしまうと病は内部に隠れ、将来、より重大な問題に発展する可能性がある
熱・下痢・嘔吐・痛み・・等はすでに治癒が始まった証拠。そして、そこに”解決しないといけない問題”があることを知らせてくれるものでもある。

●痛み・熱=治癒の現れ/治癒の回路=ドミノ倒しのように「中心から外に」向かって絶え間なく「力」が働く。人は元々勝手に治る力を持っている。それは押えるのではなくお手伝いしてあげる方が良いはず。

●アロパシー(現代医学)
「一次的に症状を抑制・緩和している内に本来の自分の力で治してゆくもの」
しかし、近年の問題は薬物の副作用問題と慢性病への効果が少ないこと。


4.レメディとは

レメディによる変化は気のせいではない。一番よく利用され、変化が期待できるのは幼児と動物。今現在、その種類は3,000種を越えている。

●類似療法の考え方=「その人のエネルギー」と類似(共鳴)する「モノのエネルギー(レメディ)」を投与すること。元々病気は「その人特有のエネルギー(感受性)」が病気を引き寄せる傾向がある。それは「その人の全体像」からわかるもの。
★症状は「原因」ではなく「結果」であることについてよく考えて見ましょう。

●レメディは恐ろしく薄めてある=
例えば「30C」などあまりに薄くて分子はない。濃度から言うと「10の60乗分の1」。ホメオパスがよく利用するのは6C、30C、200C、1M(1000C)等。

●作り方=100倍に薄めるたびに「振蕩(振り叩く)」する。その時にエネルギーレベルが高まると考えられる。(科学的裏づけはいまだ出来ていない。あるのは仮説と臨床だけ。)

●本来人は自然に治って行くはず。進むべき「治癒のドミノ倒し」の流れが滞っている。言わば「滞りを作っている邪魔」を連れ去ってくれるのがレメディの働き。(鍼灸に似ている)

●「その人」と共鳴する「レメディ」を探す=”セッション”(ホメオパスによる)

「本人への問診と観察」が主体。「周りの意見」等も参考にすることもある。
その方法は「現れている症状」と「その人の全体像」の両方を捉える。このためにはそれなりの時間がかかる。(病院診療のような数分の診断では不可能)

*ある程度勉強すればレメディキットを利用して家庭でのセルフケアも充分に可能である。

 
●レメディの効果

・レメディがマッチすれば「一時的悪化」がある。一般に急性症状は短時間。慢性症状はやや長時間。 V・Fが病気の病因(DISTURBANCE)を押し出そうとする働き。一時的悪化のあと治癒に向かう。この期間はケースバイケース。

・合わなければ何も起きない。


5.ホメオパスの役割

●「マテリア・メディカ」と「レパートリー」からレメディを見つける。

・主に「マテリア・メディカ(薬効書)*」を参考にして、「その人(全体)」との類似性を見極めてゆく。これと「レパートリー」という症状別のレメディ検索辞書のようなもを使い、多くのレメディの中からその人のトータリティにマッチした”1つのレメディ”を選んでゆく。(複数の種類になるケースもある。)

・通常最初のセッション時間は2時間程度は必要とされる。2回目以降はその半分程度の時間になることが多い。
・そして、飲んだ毎に、しばらく”経過観察”することになる。大抵は1〜2ヵ月後に再診し、レメディの効果を確認。もう一度、レメディの検討に入る。

*マテリア・メディカとは「健康な人に与えたら何が起きたか」という実証データが集められたもの。

●症状像(全体像=中心)の捉え方
・「今の」「その人の」「何(原因)が」その症状をもたらしているのか?
・「いつから?」ということがその原因のヒントになることが多い。
・重要視するべきことは「精神>全体>身体の各部位」の順番。


6.実践が大切!

●”セルフケア”では、出来るだけ「レメディを使ってみる」「自分でも試してみる」

そして一定の時間を開けてどんな反応があったのか?その経過を書き留める。セルフケアではこの繰り返しが大切。使うことでレメディに対する理解が更に深まる。
また、実際にホメオパスのセッションを受けてみることも良い体験になる。ホメオパシーの実際の効果は”実践”をしないと理解できない。

●具体的なレメディの飲み方
・水などで飲まず、舌下でゆっくり溶かす。前後20分程度は口にものをいれない。

・歯磨きや歯の治療前後は避ける。レメディ服用時は特に臭いの強いものは避ける。
・珈琲・お酒・タバコも出来るだけ控える方が良い。
・基本的に30Cレベルなら1日1粒で充分。飲み過ぎないこと。
(大きな害はないが、効果が分かりにくくなる)

・あまり飲みすぎると「プルービング*」になることがある。(但し、すぐに治まる。)また、レメディ毎の相性もあるので、やたらと色んな種類を飲むと折角の効果が台無しになることもある。

*プルービング:マテリアメディカの基本的情報となるもの=「健康な人に与えた場合起きる変化」の実症情報データ。


・特にセルフケアでは決して無理はしすぎないこと。「困ったら病院へ」が原則。
”激しい急性症状”が出ている時に、レメディを与えて1,2時間しても変化が現れず、当初の症状がドンドン悪化してゆくときは、迷わず病院へ行くこと。それからでもホメオパシー的に出来ることは多くある。


7、ホメオパシーの欠点

1)類似性の高いレメディを見つけるのに、時間が必要。見つかれば比較的限られた時間で効果はあがる。一般に慢性病だと10年患ったら、早くて10ヶ月程度は時間が必要

2)現状はまだホメオパスが少ない。加えて、その効果はホメオパスの腕に左右される。

3)保険診療が出来ないので、保険医療に比べ割高に感じる。

4)一時的悪化を自分で乗り越える必要がある。
         
    以上

TOP

HOME